研究実績の概要 |
平成26年度の研究活動では以下の成果があがった。1、磁場に対して垂直方向に働く熱力の計算モデルを、不純物の運動論的輸送シミュレーションコードIMPGYROに実装した。核融合プラズマ内の不純物に働く、熱力による輸送効果を今まで以上に正確に計算できるようになった。2、上記熱力モデルを更に拡張し、不純物の新古典輸送シミュレーションが可能になった。新古典輸送は熱力に起因するため、これまで運動論的に正確に再現することが難しかった。これは予定していた以上の研究進展であった。 本研究成果はその重要性が認められ、核融合研究コミュニティを代表する国際会議であるIAEA 25th Fusion Energy Conference (2014/Oct./13-18, Saint Petersburg, Russia)に採択された。(採択に当たっては日本国内選考委員会による査読有り。) 本年度をもって本研究課題「核融合プラズマ中の不純物に働く熱力の数値モデリング」が計画通り達成された。核融合プラズマ中の不純物が熱力によって輸送されるメカニズムを系統的に明らかにし、熱力を運動論的に正確にシミュレートできる数値モデル開発に成功した。加えて、新古典輸送モデル開発という期待以上の進展が得られた。 核融合炉の設計及び、安定・安全な定常運転実現のためには、燃料プラズマのみならず炉内不純物の輸送制御手法開発が非常に重要である。不純物の存在は核融合プラズマ性能や装置壁寿命に大きく影響するからである。本研究の新しい熱力モデルはこうした不純物に関する研究開発に非常に有用であり、正確で信頼性の高い不純物輸送シミュレーション実現の基盤として役立てることが出来る。今後更に研究を継続・発展させ、核融合エネルギー実現に大きく貢献していきたい。
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