研究課題
特別研究員奨励費
(1) 四万十付加体における地質調査と物質解析:昨年度に引き続き四国西部における四万十付加体の地質調査を行い,本研究における調査予定地域全域(仏像構造線から足摺岬まで)の構造調査を完了した.その結果,本調査地域では四万十帯北帯に7帯,南帯に2帯の地質図スケールの変形集中帯が存在することが明らかとなった.また,ほぼ全域においてビトリナイト反射率を求め,最高被熱温度が南方ほど高くなる傾向を認めた.最も浅部の変形を記録していると考えられる調査地域最北部の変形集中帯については,構造解析と断層岩試料の解析(薄片・研磨片作成)を行い,剪断センスの決定と変形条件の推定を行った.これにより,南海付加体で採取されている断層帯試料や岩石変形実験などで得られている付加体浅部の現象との対比が可能となった.(2) 沈み込み帯浅部における断層弱化機構と組織発達:昨年度の研究において,粘土鉱物を含む断層が中速~高速摩擦すべりに対して動的強度弱化を示すことを明らかにし,その理由として粘土鉱物が少量でも含まれる事によって断層の透水率が大幅に低下し,間隙水圧上昇プロセスによって強度低下することを示した.本年は断層中の組織の発達を調べるために薄片を作成し,光学顕微鏡と電子顕微鏡を用いて詳細に調べた.その結果,断層帯内部での破砕の進行は極めて低調であり,非対称構造などの組織もほとんど発達しないことが明らかとなった.(3) 巨大分岐断層浅部コア試料の解析結果:IODP第338次研究航海で採取された巨大分岐断層浅部コア試料の研磨片非破壊分析を行うとともに,主要な変形帯の薄片を作成し,光学顕微鏡と電子顕微鏡を用いた詳細な組織観察を行った.また,コア試料の年代の食い違いから断層変位前の地層の復元を行い,変位量を見積もった.その結果,コア試料中に求められる変形構造は,見積もられた変位量と比べて発達の程度が低いことが明らかとなった.
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件)
Geology
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