研究課題
特別研究員奨励費
磁場を持つトーラス上へコンパクト化された高次元超対称ヤン-ミルズ理論を解析して現実的な模型の構築・拡張可能性を探った。前年度は上記の10次元超対称ヤン-ミルズ理論に基づく最も単純な模型を解析し、ヒッグス粒子の質量が正しく再現されることを明らかにした。26年度は更に発展させ、模型に残るパラメータを変化させた時に、超対称粒子の質量スペクトラムとヒッグス粒子の質量がどのように変化していくのか調べあげた。このパラメータ空間においてヒッグス粒子の質量の再現性だけでなく、超対称粒子に対する実験からの様々な制限を重ね合わせ、LHC実験との総括的な整合性を明らかにした。また、オービフォールド構造を導入した場合に模型構築の多様性が現れることが前年度に分かっていたので、その多様性をいくつかの指標によって分類した。特に有意義であったのは対称性による分類でオービフォールドのない場合と比べて新たなフレーバー対称性が現れることが分かった。次元の異なる複数の超対称ヤン-ミルズ理論を組み合わせた系の4次元有効理論導出にも取り組んだ。特に超場形式を用いた定式化が主な成果である。具体的な系を二つ考え実際に超場形式による4次元有効理論を導出することができた。これによって従来の模型の拡張可能性が大きく広がり、様々な現象論的応用が期待される。前年度にはゲージ相互作用による超対称性の破れの伝達によって超対称スペクトラムが従来の模型と比べてずれる可能性があることを示した。26年度はその解析を進めると同時に、ゲージーノ粒子の質量に重要な特徴が見られる可能性があると明らかにした。複数のゲージーノ質量の比が特定の値をとる場合に超対称素粒子標準理論における微調整問題が緩和されるということが先行研究によって指摘されており、その特定の値が本研究の拡張された模型において再現されうることを示した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (7件)
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