研究実績の概要 |
本研究の目的は,クワイン存在論を理論的領域から日常の領域に拡張した場合に生じる問題点を検討,解消し彼の存在論を深化させることである.平成25年度では,マイノング主義(特にG. プリーストの非存在主義)を用いてクワイン存在論の方法論を踏襲しつつ彼の理論を日常の領域へ拡張した.つまり,非存在主義の志向性の論理を用いて,クワインの理論では整合的に扱えなかった非存在対象を扱えるようにした.これをまとめた論文は日本科学哲学会で受理され『科学哲学』Vol.48(1)にて掲載された. また,この研究より,クワインの存在論を日常の領域へ拡張したところ以下の点が不十分であることが判明したため,これを解決するために,平成27年度は前年度に引き続き,認識の変化を形式的に表現する動的認識論理の研究を継続した.そして,特に基本的な動的認識論理である公開告知論理におけるある既存の証明体系を検証したところこの体系に不備が見つかった.そこで,クワイン存在論のさらなる展開のために,この公開告知論理の既存の証明体系を指導教官である佐野勝彦と東条敏とともに再構築しTPLCなどで発表し,論文が受理された.また,この研究をもとにして公開告知論理の一般化であり発展体系であるAction model logicの証明体系を同教官らと共に構築してこれをLFCS2016にて発表し,また同学会へ論文を提出して受理された.さらに加えて,公開告知論理を直観主義論理へと拡張した直観主義公開告知論理の証明体系を同教官らと共に構築してLPAR-20にて発表し,同学会へ論文を提出して受理された.
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