研究課題
特別研究員奨励費
本研究の目的は、B中間子における新しい物理の探求を通して、 素粒子標準模型を超える理論を探りその証拠を見出すことである。本年度は、LHC実験によって超対称性粒子の質量下限値が今後更に上昇する可能性を踏まえ、重い超対称性粒子に対する、B中間子、K中間子といったフレーバー物理量の感度を系統的に研究した。大型加速器LHCで探索されている超対称性粒子はいまだ見つからず、その質量の下限値には厳しい制限がつけられている状況を踏まえ、我々は10-50TeVの高い超対称スケールを考え、B中間子やK中間子のCP非対称度、またクォークのchromo-電気双極子モーメントに対する影響を研究した。その結果、B中間子のCP非対称度や質量差は重い超対称性粒子に対して感度が弱く、数%程度であるのに対し、K中間子のCP非対称度ε_Kは、40%程度と強い感度を持ちうることを定量的に示した。これは近い将来ユニタリティ三角形のフィットの精度が向上や、K中間子の稀崩壊K_L → pi0 nu nu 分岐比との相関を見る事によって検証できる可能性がある。以下に具体的事項を示す。1. K中間子のCP非対称性ε_Kは、10TeVの超対称スケールで強い感度を持ち、その寄与は40%であることを示した。50TeVと更に高い超対称スケールであっても、30%程度の寄与を許し、本研究で焦点をあてた物理量の中で最も感度が高くなることを示した。2. ストレンジクォークのchrome-電気双極子モーメントは、10TeVの超対称スケールで大きく増幅されうる。しかしK中間子のCP非対称性ε_Kとは違い、50TeVであるときの超対称性粒子の寄与は二桁程度落ちる。この違いは位相の依存性の違いによるものである。3. B中間子の非レプトン崩壊・レプトン崩壊におけるCP非対称度ならびに質量差への重い超対称性粒子の寄与は、数%以下と小さい。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (21件) (うち招待講演 1件)
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