研究課題
特別研究員奨励費
心臓研究領域においても多くのCreマウスが作製されているが、特に心房筋特異的な遺伝子改変のためのCreマウスの系統は非常に少なく、心房の発生機序や病態解析研究の足かせとなっている。そこで本研究では、心臓において心房筋特異的な発現を示すSarcolipin (Sln)の遺伝子座にCreを相同組換えにより導入したSlnCre/+マウスに着目した。SlnCre/+マウスは心房筋特異的にCreを発現することができるため、上述の心房筋特異的な遺伝子改変に有用であると考えられるが、Creの導入により内在性のSlnがヘテロ欠損の状態にあるため、心房筋特異的遺伝子改変への応用に先立ち、Slnへテロ欠損の影響を明らかにすることが必要不可欠であった。本年度は、前年度までに得た健常時における分子生物学的、生理学的、形態学的なデータに加え、特に心ストレス負荷時でのSlnへテロ欠損の影響を検証した。その結果、SlnCre/+マウスは野生型マウスとほぼ同様の表現型を示すことが明らかとなり、申請者が筆頭著者として論文にまとめ、米国生理学会誌に受理された。SlnCre/+マウスは如何なる遺伝子も心房筋特異的にその発現を制御できるため、心房筋における機能解析に広く応用できる。これをふまえ、申請者は心房の発生に重要と言われる転写因子Gata4の心房筋特異的欠損マウスを作製した。このGata4欠損マウスは、心臓全体での欠損とは異なり、胎生致死とはならず、かつては研究の手が及ばなかった胎生後期や出生後のマウスを用いて機能解析ができる。また、乳酸の生理学的機能解析においては、心房組織標本と心室乳頭筋組織標本を用いて、乳酸添加時の張力と細胞内Ca2+濃度の変化を同時測定したところ、乳酸の濃度に応じた変化が両者で異なっており、心房と心室を区別して解析することの重要性を見出せた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件)
American Journal of Physiology Heart and Circulatory Physiolgy
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American Journal of Physiology, Heart and Circul atory Physiology
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10.1152/ajpheart.00867.2012