本年度は、片側マッチング理論を用いたタイムスロットの再配分に関する研究"Strategy-proof Rules for Reassigning Time Slots"(大阪大学・芹澤成弘教授、Northwestern大学・James Schummer教授との共同研究)に関して、新たな見通しを得た。この研究では、「効率性」「耐戦略性」「個人合理性」「独裁者の非存在性」「羨望保持性」という5つの望ましい性質を満たす再配分ルールを探しており、昨年度までの結果として、財および参加者の数が4以下の場合には、我々が新たに提案した"Ants Rule"という再配分ルールが、上記の5つの性質を満たす唯一の再配分ルールである、ということを示した。今年度は、より一般的な、財と参加者の数がnの場合における証明を行うための重要な中間的結果に関する検討を行った。具体的には、「ある参加者iが存在し、その参加者の位置と参加者の選好のピーク位置の間に別の参加者がおり、それら別の参加者が全て参加者iが指しているピークとは逆の方向を指している場合、参加者iはその選好組において、自分のピークである財を受け取る」というものである。この結果を豊富な具体例により導き出し、一般的な証明を試みるとともに、それを用いた特徴づけの証明に試みている。
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