研究課題/領域番号 |
13J05656
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
機能物質化学
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
片岡 祐介 神奈川大学, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2013 – 2015-03-31
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研究課題ステータス |
採択後辞退 (2014年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 390千円)
2014年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2013年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | 球状超分子金属錯体 / ロジウム錯体 / 光触媒 / DFT計算 |
研究概要 |
本研究では、著者のMetal-Organic Frameworks (MOFs)触媒の研究成果を基に立案した「水の光分解を行う金属錯体の分子設計案」を土台にして、高効率に水の光分解を行う金属錯体触媒の創成を目指す。触媒には、有機配位子部位の構造に伴い金属周囲の配位構造の剛直性が変化すると考えられる球状超分子金属錯体Metal-Organic Polyhedra (MOP)を利用する。本年度は、Paddlewheel型ロジウム二核クラスターを骨格に持つ球状超分子錯体の合成手法を確立し、更に、光触媒反応における最適な反応条件を調査する事を目的とした。球状超分子錯体に関しては、まず初めに[Rh_<24>(m-BDC)_<24>](m-BDC=1,3-benzendicarboxylate)の合成を行った。しかしながら、本錯体は、一般的な有機溶媒および水に不溶性であり、目的の触媒として使用する事は困難であると考えた。そこで、著者は、有機配位子部位に直鎖のアルキル基を導入した溶解性のMOPの合成を目指した。数種の有機配位子及びそれらをリンカーとしたMOPの合成を試みた所、5-hexanoylamido-1,3-benzendicarboxylate (haBDC)がPaddlewheel型ロジウムニ核クラスターに配位した[Rh_24(haBDC)_124]が有機溶媒に対して溶解性を有する事を明らかにした。更には、1,3-5-benzen dicaroboxyllic acid (H_3BTC)がHalf-paddlewheel型ロジウム二核錯体である[Rh_2Cl_2(O_2CCH_3)_2(bpy)_2](bpy=2,2'-bipyridine)と反応すると、球状錯体である{[Rh_2Cl_2(bpy)_2]_6[BTC]_4}が選択的に得られる事を発見した。本錯体に関しては、単結晶X線構造解析によって、その骨格構造を決定する事に成功している。光触媒反応に関しては、Paddlewheel型ロジウム二核錯体の代表例である酢酸ロジウム二核錯体[Rh_2(μ-O_2CCH_3)_4]を水素発生触媒として使用し、光増感剤として[Ir(ppy)_2(bpy)]PF_6、犠牲剤としてTriethylamine (TEA)を使用する事で還元的消光過程の均一系システムを構築した。最適条件下において可視光照射を行った所、7700 TON (per Rh_2 complex)の触媒サイクルで反応が進行する事が確認できた。この触媒効率は、既報のどの水素発生錯体触媒の効率よりも高い値である。また、Dispersion補正を行ったDFT計算(DFT-D)により、反応中間体であるのヒドリド錯体[H-Rh_2(O_2CCH_3)_4]^<0/-1>の構造を断定する事がでた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度の研究では、Paddlewheel型ロジウム二核クラスター及びHalf-paddlewheel型ロジウム二核クラスターを骨格とした球状超分子錯体の合成手法を確立する事に成功した。また、球状金属錯体の骨格と同様のクラスター構造を有するロジウム二核錯体を基盤とした水の光還元触媒反応システムを構築し、その結果として、既報の最も優れた触媒活性を有するロジウム錯体触媒よりも優れた水素発生を観測する事に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で得られた結果を土台にして、より高効率に水の光分解を行う事ができる球状超分子金属錯体の開発を目指す。具体的には、配位子の電子供与性の置換基の導入を試みる予定である。
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