研究課題
特別研究員奨励費
Th17細胞はヘルパーT細胞サブセットの一種であり、様々な自己免疫疾患発症において中心的役割を担っている。AhrはTh17細胞の分化促進に寄与していることが報告されているが、その細胞内メカニズムは十分には解明されていなかった。これまで、申請者は、microRNA(miR)と呼ばれるnon-coding RNAの一種であるmiR-132/212 clusterがAhr依存的に発現上昇し、Th17細胞の分化促進に寄与していることを明らかにしてきた。平成26年度には、miR-132/miR-212 cluster欠損マウスが、潰瘍性大腸炎モデルであるDSS-induced colitisに対し、抵抗性を示すことを見出した。このため、平成27年度は以下の研究計画を実施した。1. 「miR-132/212 clusterの大腸炎発症における役割の解明」大腸炎発症時に、Lamina propria中の各種ヘルパーT細胞サブセットの存在比を調べた結果、miR-132/212 cluster欠損マウスではTh17細胞が有意に減少していることを見出した。さらに、miR-132/212 cluster欠損マウスにおいては、IL-10産生T細胞が増加していることが明らかとなった。IL-10は抗炎症性サイトカインの一種であり、様々な細胞から産生される。ヘルパーT細胞においては、IL-10産生を特徴とするTr1細胞と呼ばれるサブセットが存在するが、AhrにはTh17細胞のみならず、Tr1細胞の分化制御機能があることが報告されている。このため、miR-132/212 clusterが直接Tr1細胞の分化制御を介して、大腸炎発症時に何らかの役割を担っていると考えた。2. 「miR-132/212 cluster によるTr1細胞分化制御機構の解明」miR-132/212 cluster欠損ナイーブT細胞をTGF-βとIL-27で刺激し、in vitroにてTr1細胞への分化を誘導した。その結果、miR-132/212 cluster欠損ナイーブT細胞は、野生型に比べ、より効率的にTr1細胞へと分化することがわかった。さらに、Tr1細胞の分化促進因子であるc-mafがmiR-212の標的mRNAの一つであることを明らかにした。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 1件)
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