研究課題
特別研究員奨励費
(1)土壌の湿式粉砕洗浄の効果:ボールミルなどによる物理的破壊とキレート剤による湿式洗浄を組み合わせることで,摩擦・衝突のエネルギーにより化学反応を促進できると期待できる(メカノケミカル効果)。メカノケミカル効果を期待した湿式粉砕洗浄では,土壌粒子を数μmレベルに粉砕することによる洗浄促進効果は認められなかった。一方で,化学洗浄剤であるHIDSは土壌中の鉄などの鉱物に強く吸着し,セシウムの溶液への拡散を促進する可能性が見出された。(2)構造物表面に対する化学的湿式洗浄の効果:路面や家屋などの構造物表面に存在する放射性セシウムに対しては,溶離剤として用いる水はセシウムとの化学的相互作用が小さく高い洗浄効果は期待できない。一方,本研究ではコンクリート片から作成した133Csモデル汚染構造物をpH 5, 50 mM HIDS, 50 mM NH4Clの化学洗浄剤に浸漬することで洗浄した。洗浄前後のセシウム存在量をエネルギー分散型蛍光X線分析(XRF)により定量したところ,水洗浄ではセシウムの除去率が40 %であった一方で,化学洗浄剤を用いることでセシウムの除去率が80 %に増加した。コンクリート表面の溶解や,アンモニウムイオンによる置換効果によるものと考えられる。(3)実試料に対する化学的湿式洗浄の効果:福島第一原子力発電所から34.4 km離れた地点において採集した実試料(9600 Bq/kg)に対して,最適条件の化学的洗浄を適用した。水洗浄による放射能除去率は9 %であった一方で,化学洗浄剤を適用した場合では土壌放射能は59 %減少し,キレート剤とアンモニウム塩の洗浄効果が優れていることが示された。以上より本研究では,自然土壌やコンクリート構造物表面に存在する放射性セシウムの汚染を,生分解性化学薬剤により低環境負荷のもとで除去する新規化学洗浄剤の開発を達成した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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