配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2015年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2014年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2013年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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研究実績の概要 |
【問題】乳児は他者と関わる際に様々な社会的手がかり(視線・発話・身体接触)を知覚する。ヒトがこうした手がかりの意味を理解し即座に応答するために、これらの感覚情報を統合的に知覚する必要がある。近年、社会的な視聴覚・視触覚情報の統合に関わる発達的な神経基盤が報告されている(e.g., Bristow et al., 2009; Rigato et al., 2014)。しかし、乳児期の社会的相互作用においては身体接触と発声の統合を促す関わりも豊富である。それにも関わらず、聴覚-触覚間の情報統合の神経基盤については明らかにされていない。本研究では、乳児期の聴覚-触覚間情報統合に関わる神経基盤を明らかにするために、身体接触を伴う社会的相互作用が乳児の多感覚情報処理過程に与える影響を脳波計測により検討した。 7-8ヶ月児は、まず経験フェーズで実験者とくすぐり遊びに従事した。乳児は次の2種類の疑似語を聞いた(i)くすぐり語:実験者がくすぐる時に聞いた (ii)統制語:身体接触なしで聞いた。直後のテストフェーズでは、各疑似語をスピーカーから呈示している最中の乳児の脳波が計測された。事象関連電位(Event-related potentials; ERP)・周波数活動が解析された。 【結果と考察】結果から次の2点が明らかになった。①刺激提示後50-200ms, 500-900msの左側頭領域においてくすぐり条件の方がより強いERP・β周波数活動(複数感覚統合の指標)を示した。7-8ヶ月児の脳は、相互作用経験を通して聴覚―触覚情報を統合していることが示された。②刺激提示後400-600msの中部前頭―頭頂領域において、くすぐり条件の方がより強いERPおよびθ周波数活動(触覚刺激の予期に関わる)を示した。統合の結果として、乳児は音声聴取時に触覚刺激の到来を予期していることが示唆された。
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