研究課題/領域番号 |
13J06035
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
遺伝・ゲノム動態
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
澁谷 大輝 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2013
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研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2013年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | テロメア / Telomere / 減数分裂 / meiosis / TERB1 / TAP1 / TAP2 / コヒーシン |
研究概要 |
減数分裂は配偶子形成に特化した細胞分裂であり、その制御機構の多くは未だ明らかにされていない。我々はマウスにおいて減数分裂組織で特異的に発現する遺伝子群に着目し、減数分裂組織では前例のない生体内電気穿孔法を用いた網羅的局在スクリーニングを行った。その結果脊椎動物間に保存された新規テロメアタンパク質TERB1を同定した。通常、減数分裂期の細胞では染色体末端テロメアが核膜へと連結され、そこを起点した核膜に沿った染色体運動が観察される。この運動は相同染色体の対合に必須である。Terb1遺伝子欠損(KO)マウスを作製し表現型解析を行った結果、野生型で見られた染色体運動が抑圧され、対合異常による減数分裂の異常停止や不妊の表現型が観察された。分子解析から、TERB1がテロメアと核膜を連結させ、その連結箇所に細胞質モーターとの橋渡しを担う核膜タンパク質SUN1/KASH5を集積させる機能を持つことが明らかになった。また、TERB1は染色体構造を形作るコヒーシンタンパク質をテロメアへと集積させ、強固なテロメア構造の形成に働くことが明らかになった。さらにTERB1の相互作用因子の解析から、下流で働く2つの新規タンパク質TAP1/2を同定した。Tap1/2 KOマウスでは、減数分裂の異常停止による不妊の表現型が観察された。分子解析からTAP1/2がTERB1の下流において、SUN1/KASH5およびダイニンモーターのテロメア集積を制御することが示唆された。以上の結果から哺乳類の減数分裂期には、TERB1/TAP1/2からなる特殊なタンパク質複合体がテロメアに形成され、テロメアの構造維持やテロメア主導の染色体運動を制御することが示された。これらの成果は不妊症やダウン症など、減数分裂異常に起因する先天的遺伝子疾患治療への応用が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
Terb1遺伝子欠損マウスの表現型解析を行い、その分子機能を明らかにできたため。さらに、その成果を国内外における複数の学会や、学術論文(Shibuya H, IshigurQ K, Watanabe Y. Nature Cell Biology vol. 16, No. 2, pp. 145-156)として発表するに至ったため。また、新たに同定されたTERB1の下流では働くTap1/2遺伝子に関しても、それぞれ遺伝子欠損マウスの作製や表現型解析が順調に進展し、成果をまとめ発表する段階にまで進捗しているため。
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今後の研究の推進方策 |
(抄録なし)
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