研究課題/領域番号 |
13J06058
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
経営学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
SIM DARA 大阪大学, 経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2013 – 2014
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研究課題ステータス |
完了 (2014年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2014年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2013年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | 金利期間構造モデル / Nelson-Siegelモデル / レジーム・シフト / 日本国債の利回りの予測 / 国債の超過リターン / 経済先行き見通しの指標 / 信用リスクモデル / 倒産確率の推定 / 回収率の推定 / クレジット・デフォルト・スワップ |
研究実績の概要 |
金融システムの状態は我々の人間の毎日の生活に直接に関わっていて、金融危機が起こし金融システムが崩壊すれば景気後退や失業率の上昇などのような不幸を招く可能性がある。すなわち、金融システムの健全性を維持することは極めて重要なことなのである。そのためには、過去の危機の教訓を踏まえれば、リスクを認識し正しく評価する必要があるというのである。リスクの評価に当たって一つの問題点として指摘されるのは、評価モデルに十分に経済の先行き見通しを組み入れなかったということである。経済の先行き見通しは将来経済がどのような状況にあるであろうかを事前に知らせてくれる重要な情報で、それを考慮すべきだという考えである。経済先行き見通しとして国内総生産(GDP)に基づいた指標があるが、GDPは頻繁に観測できず低頻度のデータしか得られないため評価に遅れが現れやすい。一方、金利は日々観測可能である上、将来の経済成長、インフレおよび景気後退の有力な予測情報を含んでいると知られている。そう言った問題意識の下で本研究の目的は経済先行き見通しの指標として解釈可能な金利ファクターを組み入れた信用リスク評価モデルを構築し推定することである。昨年度実施した研究から分かるように、インプライド倒産確率と回収率を同時に推定することが困難なため、今年度では信用リスク評価モデルに着目する本来の研究計画は進展できなかった。しかし、今年度の実績として、国債の金利期間構造モデルに着目した研究をあげられる。具体的には、昨年度行った国債の金利期間構造モデルに関する研究を拡張しレジーム・シフトを考慮するNelson-Siegelモデルについての実証研究を行った。経済循環や金融政策などを通じて国債の金利はレジームに依存すると知られるからである。レジーム・シフトを考慮したNelson--Siegelモデルは、レジーム・シフトを考慮しないモデルよりもZero Lower Boundを上手く捉えられるだけでなく、良い予測パフォーマンスを与えるので、レジーム・シフトを考慮したNelson--Siegelモデルの方が望ましいということが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究の目的は経済先行き見通しを考慮した信用リスク評価モデルを構築し、それを考慮した場合とそうでない場合の相違についてはまだ考察することである。そのために、まず将来の経済状況に関する情報を含む国債金利期間構造に着目した研究を行ったのである。しかし、信用リスク評価モデルに着目したものの、目的は達成できなかった。なぜなら、インプライド倒産確率と回収率を同時に推定する方法がまだ開発されていないからである。
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今後の研究の推進方策 |
経済先行き見通しの指標として用いる可能な金利ファクターを考慮したCDS評価モデルを構築したが、経済先行き見通しを考慮した場合とそうでない場合の相違についてはまだ考察していない。問題点は、モデルを推定するために用いられる従来のアプローチでは、昨年度の実績として示したように、インプライド倒産確率及び回収率を正しく推定できないことである。経済先行き見通しの考慮による効果を考察するのに、インプライド倒産確率及び回収率を同時に推定する方法をまず開発しなければならない。
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