研究課題
特別研究員奨励費
分子内のスピンを量子ビットとして使用するためには、緩和時間内で多くの操作が必要となるため、操作時間の短縮は重要である。高強度のRFパルスを用いたパルスENDOR法による核スピンの量子状態制御と比較し、MWパルスを用いた核スピンの状態変換では、変換にかかる時間の大幅な短縮や、超微細禁制遷移の制御を通してgn因子の小さい核も扱うことができると期待されるため、メリットが大きい。本報告者は2種のマイクロ波周波数を用いるパルス電子-電子二重共鳴(ELDOR)法を適用することにより、電子-核スピン状態のMWパルスによる状態制御技術(ELDOR-NMR法)の開発と高速制御を目的として、同位体置換ジフェニルニトロキシド2種の希釈単結晶を用いた単結晶パルスELDOR法による電子-核スピン量子状態の評価法を検討した。単結晶が混在する双晶のELDOR-NMRスペクトルでは、各々の単結晶に由来するシグナルの重ね合わせとして多数のシグナルが観測され、複数の結晶の解析を同時に行えることも明らかとなっていたが、詳細な検討は行われていなかった。今回、ジフェニルニトロキシドの双晶におけるELDOR-NMRスペクトルの角度依存性の詳細な検討を行った。各々の単結晶に由来するシグナルの定量的評価を行い、核スピンのNMR遷移とELDOR周波数が矛盾なく対応することをスペクトルシミュレーションを通して説明した。特に、ELDOR-NMR効果が超微細禁制遷移の遷移確率や希釈単結晶の濃度と密接に関連し、遷移確率の大きさや結晶濃度が高精度の状態制御に必要な操作時間を支配することを分光学的に明らかにした。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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