研究概要 |
本研究の目的は, 集客地かっ災害時の防災・避難拠点として利用されるシェル・空間構造物(体育館等)の安全性を向上させることである。具体的な研究内容は, シェル・空間構造物の応答をセンサによりモニタリングし, その結果をフィードバックすることでアクティブ制振を行い, 構造物の振動を低減する一括した総合的防災対策を提案することである。平成25年度の実施計画は, 数値解析を主として研究を行うことで防災対策の効果を把握し, 効率的な制振方法を検討することであった。 まず, 半開角および境界条件をパラメータとして二層円筒ラチスシェルの解析モデルを作成し, 制振を適用していない場合における振動特性および地震応答性状を把握した。そして, 制振を行う場合に重要となる構造物の動特性の評価をシステム同定により行う方法の適用に関する検討を行った。ここでは, システム同定におけるサンプリング周期の約3倍以上の固有周期を有する固有モードを, 固有周期が近接した固有モードを含め精度良く同定可能であることを明らかにした。また, 二層円筒ラチスシェルを対象にアクティブ制振の適用を試み, 効率的かつ実践的な制振方法の提案を行った。ここでは, モード座標系において特定の固有モードのみを対象に制御を行うにあたり, 制御の対象とする固有モードが制御効果に及ぼす影響を分析し, 有効質量比の合計が90%以上となる固有モードを制御の対象として採用することで, 十分な効果が得られることを明らかにした。また, 制御の安定性を高くすることを目的としたセンサ配置位置の最適化手法を導入するとともに, 遺伝的アルゴリズムにより最適配置位置を探索し, その最適配置位置による制振方法により信頼性が高く効率的な地震応答制御が可能であることを明らかにした。
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