研究実績の概要 |
今年度は申請書の研究予定通り、次世代シーケンサを用いたRNAseq解析で得られた深部血合筋を含むクロマグロ体幹部骨格筋3部位および心筋のトランスクリプトームデータを基に、各筋肉部位に特異的な遺伝子の抽出を行った。その結果、背側普通筋、表層血合筋、深部血合筋及び心筋の4部位より、それぞれ、371,727、236,418、1,673,731および2,168,155であった。各筋肉部位から得られた全455 Mbp の配列情報を用いて、CLC Genomics Workbenchソフトウェアを用いたde novoアセンブリの結果、118,259個のコンティグ ( > 50 bp ) が形成された。この118,259個のコンティグをリファレンスとして、背側普通筋、表層血合筋、深部血合筋および心筋のRaw データをマッピングしたところ、118,259個のコンティグのうち、896個が背側普通筋に、792個が表層血合筋、8,823個が深部血合筋、そして28,451個が心筋特異的なものとしてマップされた。 解析はまだ途中であるが、各部位に特異的に発現する遺伝子が複数同定され、ここにはクロマグロ特有の筋肉である深部血合筋に特異的なものも含まれた。これらのコンティグのうちRPKM が100以上のものは、背側普通筋、表層血合筋、深部血合筋及び心筋でそれぞれ106、257、32、および233個であった。深部血合筋に特異的に検出された32個のコンティグの演繹アミノ酸配列についてNCBIのnon-redundant protein databaseに対しBLAST検索に供したところ、既報のタンパク質と相同性を示したコンティグの内、本研究の主要解析対象であるミオシン重鎖の一部をコードすると思われるコンティグが3個含まれた。 これらの遺伝子につき、発現開始時期や発現部位などを解析していく必要がある。これら成果は、2014年にパリで開催された国際学会「the FEBS-EMBO Paris 2014 Conference」で発表した。
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