配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2015年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2014年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2013年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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研究実績の概要 |
[1]磁性/非磁性トポロジカル絶縁体の積層構造 トポロジカル絶縁体薄膜の表面二次元ディラック状態は、時間反転対称性を破ることで量子ホール状態を発現することが知られている。しかしながら、トポロジカル絶縁体における量子ホール効果、量子異常ホール効果の発現温度は数十mKと極低温に限られており、高温化が課題である。申請者は、(Bi,Sb)2Te3、Cr(Bi,Sb)2Te3の非磁性・磁性二層構造にし、正常ホール抵抗・異常ホール抵抗の和を最大化するように最適化を行うことで、量子ホール状態が単膜の量子ホール効果・量子異常ホール効果よりも10倍程度高温で観測されることを見出した。さらに本年度は積層構造の研究を進め、(Bi,Sb)2Te3、Cr(Bi,Sb)2Te3を五層膜とすることで、この高温量子ホール効果をゼロ磁場でも発現させることに成功した。 [2]異常量子ホール状態における磁壁伝導の観測 量子異常ホール効果は強磁性秩序によって時間反転対称性の破れたトポロジカル絶縁体において発現する。二次元系の端(エッジ)には一次元的伝導状態(カイラルエッジ状態)が生まれる。このカイラルエッジ状態の向きは強磁性状態のスピン配向に依存するため、強磁性トポロジカル絶縁体においては磁区と磁区の境界である磁壁にはかならずカイラルエッジ状態が存在する。これまで、量子異常ホール効果は確認されてきたが、磁壁におけるカイラルエッジ状態の存在の明瞭な報告例ない。 申請者は磁性トポロジカル絶縁体Cr(Bi,Sb)2Te3において、素子の一部をエッチングし保磁力を変調する手法を開発した。その結果、予めパターンした場所において任意に磁壁を生成できるようになった。更に抵抗測定をおこなったところ、磁壁を挟む二箇所の抵抗が場所によって異なることを見出し、エッジ伝導の存在を示唆する結果を得た。
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