研究課題
特別研究員奨励費
リゾホスファチジルセリン(LysoPS)がTリンパ球の活性化マーカーであるCD69の発現を抑制することは前年度の研究から明らかになっていたが、CD4陽性、CD8陽性Tリンパ球どちらにおいても同程度の発現抑制効果を持つことがわかり、LysoPSの効果の細胞集団特異性は弱いと考えられる。前年度から引き続きLysoPS受容体に対する抗体の作製にも着手してきたが、有用な抗体は得られていない。抗原としてin vitro翻訳系で作製したプロテオリポソームを用いているが、C末端が外側を向いているものも作製されてしまう。そこでC末端欠損受容体を作製し、その活性を検討した。結果、LysoPSに対する応答性は完全長のものとほぼ同等であったため、現在C末端欠損受容体を組み込んだリポソームを用いて免疫を行っている。自己免疫疾患モデルマウスを用いた解析から、LysoPS受容体、特にLPS2/P2Y10が免疫反応を負に制御している可能性が強く示唆されている。しかし、in vitroでのリンパ球の活性化抑制、サイトカイン産生抑制といったLysoPSの効果はLPS2のノックアウトではほぼ影響はなく、LPS3/GPR174のノックアウトで消失した。そこで、より生体内に近い状況でLysoPSの効果を検討するため、骨髄由来樹状細胞とリンパ球の共培養によるリンパ球の活性化や、肝臓実質細胞とリンパ球の共培養によるリンパ球の細胞傷害を指標とする実験系を導入することとした。骨髄由来樹状細胞との共培養では、活性化は検出できるものの、LysoPSの効果は現段階では確認できず、より詳細な条件検討を行う必要がある。肝臓実質細胞に対する障害性では、T細胞活性化剤であるコンカナバリンAを前投与したマウスから調製した脾臓細胞を用いることで障害活性が上昇することが確認できているが、こちらもLysoPSの効果は現段階では確認できておらず、今後の条件検討が必要である。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of biochemistry
巻: 157 号: 3 ページ: 151-160
10.1093/jb/mvu060