研究概要 |
具体的内容 : H25年度は、Sox17における胆嚢/胆管系発生の分子機序を解明するため、マイクロアレイ解析により綱羅的な標的遺伝子の探索を行った。また、特にSox17上流因子の探索を行うために胆嚢/胆管系領域におけるインビトロの全胚培養を用いた阻害剤添加実験により上流因子の候補を選抜した。さらに、インビトロにおける胆嚢/胆管前駆細胞の肝臓・膵臓への相補的多分化能の解析の予備実験を行い、一定の成果を得た。意義 : 哺乳類の中で、胆嚢は鯨、ラット、馬、鹿などで欠損しており、胆管系の多様性が確認されている。また、ヒトの胆道閉鎖症や胆嚢癌では胆嚢領域(一部胆管領域)を切除する外科的治療が一般的に行われており、アメリカでは毎年50万人以上の人が胆嚢摘出術を受けている。このように胆嚢は比較的不必要な臓器であるため、肝膵胆管系の細胞可塑性を応用することで外科的に切除しても問題のない胆嚢から肝臓や膵臓の再生を行うという事ができれば非常に臨床的に意義があると考える。重要性 : 肝膵胆管系(肝臓, 膵臓, 肝外胆管, 肝内胆管, 胆嚢管, 胆嚢)の中で現在ほとんど未知の領域である胆嚢/胆管系発生の分子機序を解明することは非常に重要であり、将来的に肝膵胆管領域の細胞可塑性を応用し、胆嚢や胆管細胞から肝臓や膵臓を再生させ、21世紀の移植医療創出の一旦を担っていくことであろう。
|