研究概要 |
高度に形態制御された結晶をコアとする革新的光アクティブファイバーの創製を目的に、新規ガラス材料の探索と、単結晶導波路形成に取り組んだ。ガラス材料は等方的な構造のため光波制御などの光アクティブデバイスとして用いることは難しい。そこで、ガラス内部に形態制御した光機能結晶を析出させることで、ガラスの特性を保持したまま結晶の機能を付与する方法が提案されている。 本研究において、ガラス組成1ErF_3-3NiO-50BaF_2-25Al_2O_3・25B_2O_3 (mol比)からなるガラスを溶融急冷法により作製し、このガラス板状にレンズで絞ったYb : YVO_4レーザーを照射・掃引することでBaAlBO_3F_2単結晶からなる光導波路を形成することに世界ではじめて成功した。今回、この結晶の質を高めるため、ガラス構造を詳細に調査した。FT-IR、顕微Ramanのほか、Time of Flight(飛行時間質量分析計)を用いたガラス構造調査を試みた。光機能や結晶化においてガラスのAlやBの配位数やFの結合状態が重要であるから、Al2O_3の添加量を変化させた時のガラス構造の変化を調べた。ガラス構造はAl2O_3の添加に伴いAlの配位数が4配位から5,6配位と増加し、Bの配位数は4配位が減少し3配位が増大することがわかった。また、FはBと結合していたものが、A1の添加に伴いBaと結合を形成することがわかった。目的結晶のBaAlBO_3F_2では、Bは3配位、A1は5配位であることから、より質の高い単結晶導波路形成のためには適切なAl添加量のガラス組成を選択することが重要だということが分かった。これらの成果はガラスセラミックハイブリッド材料のさらなる高機能化にむけ大きく寄与するものである。
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