研究課題
特別研究員奨励費
本研究の目的は,感覚モダリティに依存しない表象の形成に関する検討を行うことであった。平成27年度の研究では,平成26年度に引き続き,時間表象の視触覚共通性に関する検討を行った。平成26年度の研究では,課題無関連な触覚の振動周波数が視覚刺激の時間知覚に影響を及ぼすことが示されたが,課題無関連な視覚のフリッカー刺激が触覚の時間知覚に与える影響は明確には示されなかった。そこで平成27年度の研究では,実験手法の改善を行ったうえで,課題無関連な視覚刺激のフリッカー周波数が触覚刺激の時間知覚に与える影響を再検討した。その結果,フリッカー周波数にかかわらず,触覚刺激の知覚時間はほとんど変わらないことが示され,課題無関連な視覚刺激は触覚刺激の時間知覚に影響を与えないことが示唆された。これらの結果から,視覚と触覚の時間表象は部分的には共有されているが,完全には共有されていない可能性が考えられる。また,モダリティ間のインタラクションに関して異方性が認められたこと(触覚の振動周波数は視覚刺激の時間知覚に影響を与えるが,視覚のフリッカー周波数は触覚刺激の時間知覚に影響を与えないこと)は,視聴覚の時間知覚の研究で報告されている結果と類似しているため,触覚と聴覚の時間知覚の表象は類似した特性を持つ可能性が考えられる。このことから,今後は聴覚も含めた上で,モダリティ間での時間知覚の表象の共通性を検討する必要がある。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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