研究課題
特別研究員奨励費
本研究では、12C(p,d)反応の分光により、η′中間子と炭素原子核の束縛状態(η′中間子原子核)を探索する実験を行った。これまでに、この実験に必要な検出器やスペクトロメータのイオン光学系の開発を行っており、前年度には、ドイツ重イオン研究所のSIS加速器から供給されるエネルギー2.5GeVの陽子ビームを用いて、12C(p,d)反応を分光する測定を実施してきた。当該年度には、この実験で取得したデータの詳細な解析を行った。測定されたデータから重陽子を識別する解析を行い、FRSスペクトロメータの下流焦点面での粒子の軌道を解析することで、重陽子の運動量を求め、12C(p,d)反応での生成物のエネルギースペクトルをη′中間子生成閾値付近の広い領域で得ることができた。得られたエネルギースペクトルでは、実験の目標としていた約1%以下という非常に良い統計感度と、2.5MeV程度という十分なエネルギー分解能を達成した。得られたエネルギースペクトル中に、η′中間子と原子核の束縛状態に対応するピーク構造は観測されなかったことから、この束縛状態の生成断面積に対する上限値を初めて決定した。また、η′中間子ー原子核の光学ポテンシャルのパラメータごとに理論的に予想されていた生成断面積のスペクトルとの比較を行い、このポテンシャルのパラメータについての制限を議論した。これらの成果について、国内学会等で発表を行った。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 1件)
Proceedings of the 20th Particles and Nuclei International Conference (PANIC14)
巻: 印刷中
EPJ Web of Conferences
巻: 66
RIKEN Accelerator Progress Report
巻: 46 ページ: 211-211