研究課題
特別研究員奨励費
平成27年度は研究計画に予定していた通り、平成25・26年度を通して構築した実験プラットホームを用いて、様々な生命現象(特にがんの転移や組織形成)メカニズムの解明に挑んだ。具体的には抗がん効果を有する緑茶カテキンによるがん細胞接着への影響の定量評価を行った。接着界面を可視化できる反射干渉法を用いてがん細胞を観察すると、強接着状態にある高転移性のがん細胞が緑茶カテキン濃度の増大に伴い弱接着状態へと転移を起こすことが明らかになった。この時の転移点のカテキン濃度は低転移性のがん細胞に比べて約1.6倍高濃度側にあり、抗カテキン作用の強さを定量評価に成功した(J. Phys. Chem. B 2016)。さらに緑茶中に含まれるカテキン誘導体の内、ガロイル基を有する(-)-epigallocatechin gallate (EGCG) 及び (-)-epicatechin gallate (ECG)が特異的にがん細胞接着を阻害していることを見出した(In Vitro Cellular & Developmental Biology-Animal, in press)。よって本実験プラットホームを用いることでがん細胞の転移能及び抗がん剤の効果を接着の観点から定量評価に成功している。また昨年度に引き続き横浜市立大学 臓器再生医学 武部貴則准教授との共同研究も継続して進め、本実験プラットホームを組織形成に適用した。その結果、肝臓原基(臓器の種)を効率的に誘導することのできるハイドロゲル基板の硬さ因子に成功した(Cell Stem Cell 2015)。以上により松崎君は本申請の目的である、生体内硬さ環境のインビトロ構築し、その生化学・物理的特性に応答する様々な生命現象(がん細胞や組織形成)のメカニズムの定量解明を達成できたと考えられる。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Physical Chemistry B
巻: 120 号: 7 ページ: 1221-1227
10.1021/acs.jpcb.5b11870
In Vitro Cellular & Developmental Biology - Animal
巻: 印刷中
Cell Stem Cell
巻: 16 号: 5 ページ: 556-565
10.1016/j.stem.2015.03.004
Journal of Physical Chemistry letter
巻: 5 号: 1 ページ: 253-257
10.1021/jz402463u
Stem Cells
巻: 32 号: 3 ページ: 816-821
10.1002/stem.1529