研究課題
特別研究員奨励費
本研究では熱泳動(ソーレー効果)および自然対流を有効利用することで高分子化合物の物質輸送技術の確立を目的とした。この目的を達成するために実験および数値計算を並列で行うアプローチが最適であると判断した。ここで、伝熱制御を行うことで微小領域における物質輸送制御をする。平成25年度における主な研究成果は下記の通りである。1. 計測実験に関する研究実績, 熱泳動および自然対流の計測技術の確立(1)光学系の構築 : 位相シフト技術およびPIVシステムにより構成される新型光学系を構築した。(2)セルの製作 : 濃度場・温度場を形成する伝熱制御システムを設計・製作した。(3)ソフト作成 : リアルタイムで二次元の濃度場・温度場高精度計測する独自のソフトを作成した。(4)熱泳動実験 : ベンチマーク物質の熱泳動現象を可視化し、新測定法の妥当性を評価した。(5)タンパク質の熱泳動実験 : 世界で初めてタンパク質の熱泳動現象を可視化することに成功した。(6)自然対流実験 : 純粋自然対流(熱泳動無し)の流速場・濃度場を同時計測する技術を確立した。2. 数値計算に関する研究実績. 自然対流の不安定性解析(1)不安定性モデルの改善 : 作成した自然対流の数値シミュレーションに傾斜角の効果を導入した。(2)平行六面体内の自然対流現象の解明 : 傾斜した平行六面体内の純粋流体の自然対流を評価し、流れの不安定性現象および伝熱特性を明らかにした。(3)実験条件の検討 : 数値計算の結果により、純粋流体の自然対流実験の条件を検討した。上記の研究実績から、熱泳動を用いる物質輸送制御技術を提案した。この新計測技術を用いることで混合溶液内の物質の分離・分析が可能であると考えられる。また、加熱条件を調整することによって熱泳動による物質輸送のみならず自然対流による物質輸送が可能となることを実験的・解析的に示し、熱・物質輸送の最適条件を明らかにした。
(抄録なし)
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第50回日本伝熱シンポジウム講演論文集
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The Journal of Chemical Physics
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