研究課題
特別研究員奨励費
分子のキラリティやヘリシティを動的に変化させることで、生体分子や酵素を模倣した分子認識や分子モーターが実現できる。軸性キラルを有するビナフチルは二面角を変化させることで容易にそのヘリシティを制御できる。動的界面およびナノ粒子表面上におけるビナフチルのヘリシティ制御を試みた。両親媒性ビナフチル誘導体を合成し、気水界面に展開しLangmuir-Blodgett膜を作製した。円偏光二色性スペクトル測定から、表面圧によりビナフチルの二面角が変化することが分かった。表面圧一分子専有面積曲線から圧縮過程でビナフチルへ与えられるエネルギー量を算出した。DFTによるモデル分子からビナフチルの二面角を変化させるためのエネルギー量を計算した。両者を比較することで、圧縮過程においてビナフチルへ与えられるエネルギー量は、二面角を変化させうる値であることが分かった。次に、マトリックスとして脂質を用いて気水界面上でビナフチル誘導体の二面角制御を試みた。円偏光二色性スペクトル測定から大きな表面圧で転写したLangmuir-Blodgett膜中におけるビナフチルトランソイド構造を取ることが示唆された。ブリュースター角顕微鏡観察から、表面圧の高い膜中でビナフチル誘導体は結晶化していると考えられる。次に、ビナフチル誘導体を修飾した金ナノ粒子を合成した。円偏光二色性スペクトル測定から、金ナノ粒子表面に修飾されたビナフチル誘導体は、有機溶媒中ではシソイド構造を取ることが分かった。得られた金ナノ粒子をネマチック液晶に少量添加しキラルネマチック液晶を調製できた。液晶の巻き方向を相溶性試験で判定した。その結果、ビナフチル誘導体は液晶中でトランソイド構造を取ることが分かった。つまり、有機溶媒と液晶を用いることで、金ナノ粒子表面に修飾されたビナフチル誘導体のヘリシティを制御できた。
本年度にて、就職にともない特別研究員PDの身分を辞退するため本研究課題は平成26年度が最終年度になるので記入しない。
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すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 11件)
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