研究課題/領域番号 |
13J09965
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
都市計画・建築計画
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高取 千佳 東京大学, 大学院工学系研究科, 特別研究員DC2
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研究期間 (年度) |
2013
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研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2013年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 東京都心部 / マトリクス構造 / 熱・風環境 / 明治期 / 海風 / 微地形 |
研究概要 |
地球温暖化現象と合わせ、ヒートアイランド現象やエネルギー負荷の増大による都市環境問題が顕著となっている今日、都市形成の歴史的経緯を読み解き、水や緑を骨格として自然共生型の都市空間を形成していくことは、21世紀の根幹的な課題である。本研究では、東京都心部を対象に、地球環境時代における自然共生型の都市環境計画に対し、基礎的知見を得ることを目的とし、以下の5点の研究を行った。 (I)階層性を踏まえた研究の枠組みの設定, 都市緑地構造と熱・風環境、計画・設計の共通フレームとして3つの階層スケールの設定と既往研究の整理を行った。(II)都市・緑地の構造と変化の分析(江戸~現代) : 江戸明治期と現代における詳細GISデータの構築を行い、都心部7.5㎞四方での都市・緑地構造の変化を分析した。微地形分類と土地被覆(建築・緑地環境)の分類を行い、代表的タイプを基礎的単位(ランドスケープ・ユニット)として設定した。(III)熱・風環境評価 : 海洋研究開発機構との共同研究により、地球シミュレータを活用し、熱・風環境の高解像度シミュレーションを実施・解析を行った。上空部(大気境界層下部)での海風の侵入に伴う渦構造と、地上付近(接地境界層内部)の熱環境を可視化し、ランドスケープ・ユニット別に評価を行った。また熱環境に有意な影響を持つ要因を、ユニットの内部環境と、ユニット外部との移流効果(上空との熱交換や隣接ユニット同士の熱交換)の観点から、気温・風速・湿度との回帰分析により抽出し、ユニットの計画単位としての有効性を検証した。(IV)都市環境計画論への展開 : ランドスケープ・ユニットとその他の要因(上空や隣接ユニットとの熱交換)の熱・風環境評価に基づき、計画の指針図を設定した。さらに現行政策との比較分析により施策の展開を例示した。これらの成果を、(V)行政・地域との連携・情報共有を行った。 以上、本研究は、時間軸の導入により、東京都心部におけるランドスケープ・ユニットを設定し、地球環境時代における都市環境計画の計画原単位としての有効性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究において当初目的としていた、1. マトリクス構造(ランドスケープ・ユニット)の設定、2. 熱・風環境評価、3. 都市環境計画方法論の提示までは行った。しかしながら、それら一連の方法論に基づき将来シナリオの代替案を設定し、それらを数値シミュレーションにより比較検証することまでは達成できておらず、今後の課題である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の課題としては、以下の五点が挙げられる。 ・解析結果の実測値との比較による精度検証 ・ランドスケープ・ユニットの精緻化と他地域への適用 ・計画図の数値シミュレーションによる評価 ・海風侵入の方向を変えた場合に鉛直流の妥当性評価 ・メソスケールモデルとの連携による温暖化シナリオ等の初期値の変化に対する頑健性の検証
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