研究課題
特別研究員奨励費
昨年度に引き続き、赤外線天文衛星『あかり』の遠赤外線全天サーベイ観測によって得られていたデータ特性の把握を進めた。本年度は特に全天サーベイ中に映り込んでいる点光源の特性について理解を深めた。そのなかで、実際の観測データには本研究のターゲットである移動天体の他に大量の検出器由来のノイズが発生していることが発覚した。これらのノイズは検出器のシグナルのリセット時や宇宙線がヒットしたときに発生すると考えられ、データ上で点源のように振る舞っていた。そのため、本研究の当初の研究計画にあった太陽系外縁部の移動天体の検出は難しいことが判明した。しかし、これまで取り組んできたデータ特性に関する研究は、本年度公開された全天マップの作成やデータ特性の評価に重要な寄与を与えている。また、全天マップを利用して近傍恒星の遠赤外輻射についた研究も昨年から引き続き進めた。特に近傍恒星星周から検出された輻射の、背景の天体やノイズからの輻射に対する有意性について、実データを用いた詳細な評価を行った。こうした研究に加え、当初の目的であった太陽系外縁部の解明を目指し、国立天文台すばる望遠鏡や東京大学木曽観測所のシュミットカメラ等を用いた観測的研究を行った。具体的には直接検出が困難な小型の太陽系外縁天体を発見するために、こうした天体が背景の恒星を掩蔽する現象のモニタ観測を実行した。実際の観測を通じ、予定していた望遠鏡の操作が可能であることを確認し、実際の観測が可能であることを実証した。現在得られたデータの解析を進め、より定量的なデータ特性の評価と掩蔽現象の検出を進めている。以上のような掩蔽や食といった天文現象を利用した観測的研究の一環として、ガリレオ衛星が木星の影に隠れた際の表面輝度を測定した。その結果、衛星表面が発光していることを発見したため、共著論文として発表した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Publications of the Astronomical Society of Japan
巻: --
Astrophysical Journal
巻: 789 号: 2 ページ: 122-128
10.1088/0004-637x/789/2/122