北極の海氷減少に伴う大気海洋相互作用の変化の観測的研究

• 研究課題/領域番号: 13J10583
• 研究種目: 特別研究員奨励費
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 国内
• 研究分野: 気象・海洋物理・陸水学
• 研究機関: 国立極地研究所 (2015); 総合研究大学院大学 (2014); 弘前大学 (2013)
• 研究代表者: 佐藤 和敏 国立極地研究所, 国際北極環境研究センター, 特任研究員
• 研究期間 (年度): 2013-04-01 – 2016-03-31
• 研究課題ステータス: 完了 (2015年度)
• 配分額: 2,800千円 (直接経費: 2,800千円); 2015年度: 700千円 (直接経費: 700千円); 2014年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円); 2013年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
• キーワード: 大気海洋相互作用 / 北極海 / メソスケール降水 / 積雪深 / メキシコ湾流 / 北極温暖化 / 海氷減少 / バレンツ海 / 中・高緯度相互作用 / ブイ観測データ / 海氷上の積雪深 / バレンツ海の海氷減少 / ユーラシア寒冷化 / 北極層雲 / 海氷上積雪

研究実績の概要

本年度の研究では、海洋研究開発機構の海洋地球研究船「みらい」による北極航海や海外の研究機関が海氷上に設置したブイにより取得された観測データを用いて、海氷減少に伴う大気変動やその大気変動がさらに海氷減少を促進していることを明らかにした。
「みらい」は、降水の強さや位置を把握できるドップラーレーダーを搭載しており、2013年に海氷縁域で強い降雪を伴う規模の小さい渦を観測した。氷縁付近では、海氷と海洋の温度コントラストにより、対流が強められる大気場が形成され、強い降雪を伴う渦が発生しやすいことがわかった。これらの現象は、多くの研究で用いられている再解析データや衛星データでは捉えることができず、数値実験を用いた理論的研究がほとんどであったが、観測データから初めて存在を明らかにした。
海氷上に設置されたブイでは、海氷や海氷の温度、海氷上の雪の厚さを観測している。これらの観測データから、近年海氷上の雪が厚くなる傾向にあることがわかった。海氷上の雪は、海氷が成長する際に大気へ放出される熱を抑制する役割を持っており、海氷の成長量と密接に関係している。海氷上の雪の増加が海氷成長量へ与える影響を定量的に見積もるため、２次元の簡易モデルを用いた数値実験を行った。このモデルの結果から、最近の海氷上の雪の増加により、海氷の成長が約20%抑制され、薄い海氷が形成されやすくなっていることがわかった。薄い海氷の形成は、冬期の強い低気圧により破壊されやすく、夏期に早期融解を引き起こすことから、最近顕著な海氷減少の一因であると考えられる。
以上のことから、近年の海氷減少により強い降雪が発生しやすくなり、海氷上の雪が増加して海氷成長が抑制され、さらに海氷減少を引き起こすメソスケールの正のフィードバックが生じていることがわかった。

現在までの達成度 (段落)

27年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

27年度が最終年度であるため、記入しない。

研究成果

• [雑誌論文] Influence of the Kuroshio on mesoscale convective systems in the Baiu frontal zone over the East China Sea (2015)
  • 著者名/発表者名: Kazutoshi Sato, Atsuyoshi Manda, Qoosaku Moteki, Kensuke K. Komatsu, Koto Ogata, Hatsumi Nishikawa, Miki Oshika, Yuriko Otomi, Shiori Kunoki, Hisao Kanehara, Takashi Aoshima, Kenichi Shimizu, Jun Uchida, Masako Shimoda, Mitsuharu Yagi, Shoshiro Monobe, Yoshihiro Tachibana
  • 雑誌名: Monthly Weather Review 巻: 144 号: 3 ページ: 1017-1033
  • DOI: 10.1175/mwr-d-15-0139.1
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Summertime atmosphere-ocean preconditionings for the Bering Sea ice retreat and the following severe winters in North America (2015)
  • 著者名/発表者名: Nakanowatari, T., J. Inoue, K. Sato, T. Kikuchi
  • 雑誌名: Environmental Research Letters 巻: - 号: 9 ページ: 094023-094023
  • DOI: 10.1088/1748-9326/10/9/094023
  • 査読あり
• [雑誌論文] Influence of the Gulf Stream on the Barents Sea ice retreat and Eurasian coldness during early wonter (2014)
  • 著者名/発表者名: Sato K., J. Inoue and M. Watanabe
  • 雑誌名: Environmental Research Letters 巻: 9 号: 8 ページ: 084009-084009
  • DOI: 10.1088/1748-9326/9/8/084009
  • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Predictability of the Barents Sea ice in early winter: Remote effects of oceanic and atmospheric thermal conditions from the North Atlantic (2014)
  • 著者名/発表者名: Nakanowatari T., K. Sato and J. Inoue
  • 雑誌名: Journal of Climate 巻: 27 号: 23 ページ: 8884-8901
  • DOI: 10.1175/jcli-d-14-00125.1
  • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Oceanic influence on the Baiu frontal zone in the East China Sea (2014)
  • 著者名/発表者名: Kunoki S., A. Manda, Y. -M. Kodama, S. Izuka, K. Sato, I. Fathrio, T. Mitsui, H. Seko, Q. Moteki, S. Minobe, Y. Tachibana
  • 雑誌名: Journal of Geophysical Research 巻: 120
  • 査読あり
• [学会発表] Relationship Between Routing Across Polar Region And Positions Of Jet Stream Over The Arctic (2016)
  • 著者名/発表者名: K. Sato, J. Inoue
  • 学会等名: Asia Oceania Geosciences Society 2016
  • 発表場所: 北京、中国
  • 年月日: 2016-08-03
  • 国際学会
• [学会発表] 北極海のラジオゾンデ観測データが冬の中緯度で生じる寒波の予報精度に与える影響 (2016)
  • 著者名/発表者名: 佐藤和敏, 猪上淳, 山崎哲, Joo-hong Kim, M. Maturilli, K. Dethloff, and S. Hudson
  • 学会等名: 日本地球惑星科学連合2016
  • 発表場所: 幕張、幕張メッセ
  • 年月日: 2016-05-26
• [学会発表] 北極海のラジオゾンデ観測データが冬の中緯度で生じる寒波の予報精度に与える影響 (2016)
  • 著者名/発表者名: 佐藤和敏, 猪上淳, 山崎哲, Joo-hong Kim, M. Maturilli, K. Dethloff, and S. Hudson
  • 学会等名: 日本気象学会メソ気象研究連絡会
  • 発表場所: 東京、気象庁
  • 年月日: 2016-05-17
  • 招待講演
• [学会発表] Impact of radiosonde data over the Arctic ice on forecasting winter extreme weather over mid latitude (2016)
  • 著者名/発表者名: K. Sato, J. Inoue, A. Yamazaki, Joo-hong Kim, M. Maturilli, K. Dethloff, and S. Hudson
  • 学会等名: 22nd International Symposium on Polar Science
  • 発表場所: 仁川、韓国
  • 年月日: 2016-05-10
  • 国際学会
• [学会発表] Impact of radiosonde data over the Arctic ice on forecasting winter extreme weather over mid latitude (2016)
  • 著者名/発表者名: K. Sato, J. Inoue, A. Yamazaki, Joo-hong Kim, M. Maturilli, K. Dethloff, and S. Hudson
  • 学会等名: European Geosciences Union General Assembly 2016
  • 発表場所: ウィーン、オーストリア
  • 年月日: 2016-04-21
  • 国際学会
• [学会発表] ドップラーレーダーによって観測された海氷縁で強化される降雪現象 (2015)
  • 著者名/発表者名: 佐藤和敏、猪上淳
  • 学会等名: 第6回極域科学シンポジウム
  • 発表場所: 立川、国立極地研究所
  • 年月日: 2015-11-16
• [学会発表] Comparison of snow depth on the sea ice between buoys and CFSR data (2015)
  • 著者名/発表者名: Sato K. and J. Inoue
  • 学会等名: IUGG General Assembly 2014
  • 発表場所: プラハ、チェコ
  • 年月日: 2015-06-26 – 2015-06-27
• [学会発表] Comparison of snow depth on the sea ice between buoys and CFSR data (2015)
  • 著者名/発表者名: Sato K. and J. Inoue
  • 学会等名: 26th International Union of Geodesy and Geophysics General Assembly
  • 発表場所: プラハ、チェコ
  • 年月日: 2015-06-22
  • 国際学会
• [学会発表] CFSR再解析データにおける海氷上積雪深の再現性について (2015)
  • 著者名/発表者名: 佐藤和敏、猪上淳
  • 学会等名: 日本地球惑星科学連合2015
  • 発表場所: 幕張、幕張メッセ
  • 年月日: 2015-05-26
• [学会発表] CFSR再解析テータによる海氷上積雪量の再現性について (2015)
  • 著者名/発表者名: 佐藤 和敏、猪上 淳
  • 学会等名: 日本地球惑星科学連合2015
  • 発表場所: 幕張
  • 年月日: 2015-05-26
• [学会発表] CFSR再解析データにおける海氷上積雪深の再現性について (2015)
  • 著者名/発表者名: 佐藤和敏、猪上淳
  • 学会等名: 日本気象学会2015年春期気象学会
  • 発表場所: 筑波、つくば国際会議場
  • 年月日: 2015-05-24
• [学会発表] CFSR 再解析データにおける海氷上積雪深の再現性について (2015)
  • 著者名/発表者名: 佐藤 和敏、猪上 淳
  • 学会等名: 日本気象学会2015
  • 発表場所: 筑波
  • 年月日: 2015-05-24
• [学会発表] メキシコ湾流の流軸変化がもたらす北極海の海氷減少とユーラシア大陸の異常寒波 (2015)
  • 著者名/発表者名: 佐藤和敏、猪上淳、渡部雅浩
  • 学会等名: 日本気象学会2015年春期気象学会
  • 発表場所: 筑波、つくば国際会議場
  • 年月日: 2015-05-22
• [学会発表] メキシコ湾流の流軸変化がもたらす北極海の海氷減少とユーラシア大陸の異常寒波 (2015)
  • 著者名/発表者名: 佐藤 和敏、猪上 淳、渡部 雅浩
  • 学会等名: 日本気象学会2015
  • 発表場所: 筑波
  • 年月日: 2015-05-22
• [学会発表] Influence of the Gulf Stream on the Barents Sea ice retreat and Eurasian coldness during early winter (2015)
  • 著者名/発表者名: Sato K., J. Inoue and M. Watanabe
  • 学会等名: Arctic Science Summit Week 2015
  • 発表場所: 富山、富山国際会議場
  • 年月日: 2015-04-29
  • 国際学会
• [学会発表] Influence of the Gulf Stream on the Barents Sea ice retreat and Eurasian coldness during early winter (2015)
  • 著者名/発表者名: Sato K., J. Inoue and M. Watanabe
  • 学会等名: Arctic Science Summit Week 2015
  • 発表場所: 富山
  • 年月日: 2015-04-29
• [学会発表] Influence of the Gulf Stream on the Barents Sea ice retreat and Eurasian coldness during early winter (2015)
  • 著者名/発表者名: Sato K., J. Inoue and M. Watanabe
  • 学会等名: High Latitude Dynamics Workshop
  • 発表場所: ロゼンダル、ノルウェー
  • 年月日: 2015-03-25
• [学会発表] 集中観測期間中に捉えた北極雲の特徴 (2015)
  • 著者名/発表者名: 佐藤 和敏、猪上 淳、堀 正岳、大島 和裕、三井 拓、浅井 博明、竹田 大樹
  • 学会等名: ブルーアースシンポジウム2014\5
  • 発表場所: 品川
  • 年月日: 2015-03-20
• [学会発表] Influence of the Gulf Stream on the Barents Sea ice retreat and Eurasian coldness during early winter (2015)
  • 著者名/発表者名: Sato K., J. Inoue and M. Watanabe
  • 学会等名: AMS Meeting 2015
  • 発表場所: フェニックス、アメリカ
  • 年月日: 2015-01-05
• [学会発表] Influence of the Gulf Stream on the Barents Sea ice retreat and Eurasian coldness during early winter (2014)
  • 著者名/発表者名: Sato K., J. Inoue and M. Watanabe
  • 学会等名: AGU Fall Meeting 2014
  • 発表場所: サンフランシスコ、アメリカ
  • 年月日: 2014-12-17
• [学会発表] メキシコ湾流の流軸変化がもたらす北極海の海氷減少とユーラシア大陸の異常寒波 (2014)
  • 著者名/発表者名: 佐藤 和敏、猪上 淳、渡部 雅浩
  • 学会等名: 第5回極域シンポジウム
  • 発表場所: 立川
  • 年月日: 2014-12-02
• [学会発表] CFSR 再解析データにおける海氷上積雪深の再現性について (2014)
  • 著者名/発表者名: 佐藤 和敏、猪上 淳
  • 学会等名: 第5回極域シンポジウム
  • 発表場所: 立川
  • 年月日: 2014-12-02
• [学会発表] CFSR 再解析データにおける海氷上積雪深の再現性について (2014)
  • 著者名/発表者名: 佐藤 和敏、猪上 淳
  • 学会等名: 日本気象学会春期大会
  • 発表場所: 横浜
  • 年月日: 2014-05-23
• [学会発表] Influence of the Gulf Stream on the Barents Sea ice retreat and Eurasian coldness during early winter (2014)
  • 著者名/発表者名: Sato K., J. Inoue and M. Watanabe
  • 学会等名: EGU General Assembly 2014
  • 発表場所: ウィーン、オーストリア
  • 年月日: 2014-04-29
• [学会発表] Relationship between the Barents Sea ice retreat and atmospheric response (2014)
  • 著者名/発表者名: Kazutoshi Sato, Jun Inoue, Masahiro Watanabe
  • 学会等名: The 29th International Symposium on Okhotsk Sea and Sea Ice
  • 発表場所: Monbetsu
• [学会発表] Influence of the Gulf Stream on the Barents Sea ice retreat and Eurasian coldness (2014)
  • 著者名/発表者名: Kazutoshi Sato, Jun Inoue, Masahiro Watanabe
  • 学会等名: International Symposium on Sea Ice in a Changing Environment
  • 発表場所: Hobart, Australia
• [学会発表] メキシコ湾流の水温分布変化とバレンツ海の海氷減少の因果関係について (2014)
  • 著者名/発表者名: 佐藤 和敏、猪上 淳、渡部 雅浩
  • 学会等名: 日本海洋学会2014年度春期大会
  • 発表場所: 品川
• [学会発表] バレンツ海の海氷減少と中緯度大気応答との因果関係について (2013)
  • 著者名/発表者名: 佐藤 和敏、猪上 淳
  • 学会等名: 第4回極域シンポジウム
  • 発表場所: 立川
• [学会発表] 領域モデルHIRHAMにおける夏季北極海上の低気圧の再現性 (2013)
  • 著者名/発表者名: 佐藤 和敏, 猪上 淳, Annette Rinke, Klaus Dethloff
  • 学会等名: 日本気象学会2013年度秋季大会
  • 発表場所: 仙台
• [学会発表] バレンツ海の海氷減少と中緯度大気応答との因果関係について (2013)
  • 著者名/発表者名: 佐藤 和敏、猪上 淳
  • 学会等名: 日本気象学会2013年度秋季大会
  • 発表場所: 仙台