研究実績の概要 |
平成26年度は引き続き、ヒトパラインフルエンザ1型ウイルス(hPIV1)及び3型ウイルス(hPIV3)のシアル酸認識特異性を比較するとともに、このシアル酸認識特異性がhPIV1とhPIV3のヘマグルチニン-ノイラミニダーゼ(HN)糖タンパク質のどのアミノ酸残基に起因するものであるかを調べた。 1,hPIV1とhPIV3のシアル酸認識特異性の比較 【具体的内容】末端シアル酸構造を改変したヒト赤血球(hRBC)および哺乳動物細胞を用い、hPIV1はa2,3型シアル酸を持つ細胞のみに結合・感染し、hPIV3はa2,3型に加え、a2,6型シアル酸を持つ細胞にも結合・感染することを明らかにした。【意義・重要性】細胞表面上の様々な糖鎖に対し、hPIV3はa2,3型とa2,6型シアル酸の両方を感染に利用していることが示唆された。以上の研究結果をまとめた論文は、2014年7月に国際学術誌Virologyに受理された。 2,hPIV3のHN糖タンパク質においてa2,6型シアル酸への結合性を決定するアミノ酸残基の同定 【具体的内容】HN1とHN3糖タンパク質のシアル酸結合ポケットでは、シアル酸と直接水素結合する8ヶ所のアミノ酸残基は保存されているが、その周辺9ヶ所のアミノ酸残基が異なっていた。変異を導入したHN3糖タンパク質の赤血球吸着活性を測定すると、275、277、375 および408番目のアミノ酸残基をHN1タイプのアミノ酸残基に変異させると、HN3糖タンパク質がa2,6型シアル酸への結合性を失うことが明らかとなった。【意義・重要性】HN3糖タンパク質においては、275、277、375および408番目の4つのアミノ酸残基がシアル酸認識特異性を決定していることが示唆された。以上の研究結果をまとめた論文は、2015年3月に国際学術誌FEBS Letterに受理された。
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