研究課題
特別研究員奨励費
植物が病原菌を認識すると、シグナル伝達物質の一つである一酸化窒素(NO)やサリチル酸(SA)の合成に伴い、非感染部位においても全身的な抵抗性反応が誘導される。本免疫応答には、鍵転写補助因子であるNPR1の活性化が必須であることが明らかになっている。一方、腐生菌や昆虫等による傷害に対しては、NO及び植物ホルモンのジャスモン酸(JA)を生成し、JAZリプレッサータンパク質の分解を伴うJA依存的な免疫システムを活性化する。両反応は拮抗関係にあることが報告されているが、NOのシグナル伝達経路の分子機構、NPR1/JAZタンパク質の制御転写因子や拮抗メカニズムについては十分に理解されていない。本年度申請者らは、SA及びJAシグナルを制御するそれぞれNPR1及びJAZが、互いのシグナルの制御転写因子群を直接標的とすることでSAとJAのクロストークを制御していることを示した。NPR1はSAシグナルを活性化するために、SAシグナルのリプレッサーWRKYやJAシグナルのポジティブレギュレーターであるMYC転写因子群の機能を阻害することを明らかにした。同時に、JAZタンパク質がSAシグナルのコアクチベーターとしても機能することを示した。つまり、SAとJAシグナルの制御因子NPR1とJAZは、SAシグナルに対してはアクチベーターとして、JAシグナルにはリプレッサーとして転写コンテクスト依存的に機能することを明らかにし、投稿論文とした。一方、NOのシグナル伝達経路を理解するために、NO感受性であるWRKY転写因子の機能解析を行った。NOの翻訳後修飾であるS-ニトロソ化は、WRKYのDNA結合能に影響を与えることを見出した。WRKYの候補被修飾システイン残基を置換した組み換え植物を作出し、ChIP-PCRやPseudomonas属菌の接種及びSA処理によりその表現型を評価した。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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