研究課題
特別研究員奨励費
私は, SOD1-Derlin-1結合阻害物質をマウス個体内に発現させる系を確立し,その系を用いてモデルマウスの病態改善効果を検討することを目的とし,研究を遂行した.昨年度までに,アデノ随伴ウイルス(AAV: adeno-associated virus)ベクターを用いてALSモデルマウス(家族性ALS関連変異型SOD1のトランスジェニックマウス)脊髄の運動神経にCT4ペプチド(Derlin-1のC末端12アミノ酸,SOD1との結合領域)を発現させる系を構築し,ALS発症時期と継続期間の検討を行った.しかしながら,いずれの表現型においてもCT4ペプチド発現による有意な改善効果は見られなかったことに加え,種々の条件検討を行った結果,アストロサイトやミクログリアにCT4ペプチドを発現させる系が必要であると判断した.以上に基づき,本年度は下記のとおり研究を遂行した.・脳室内投与により,マウス個体の脊髄アストロサイト・ミクログリアへCT4ペプチドを発現させる目的に適した血清型のAAVベクターから,ウイルスを作製する系を構築した.・上記アデノ随伴ウイルスを,ALSモデルマウス胎児(生後1日)の脳室内に打ち込むことで,5週齢までにCT4ペプチドを脊髄アストロサイトおよびミクログリアに発現する系を構築した.・上記により,5週齢以降で体重・運動機能評価(ロータロッドテスト)を行うことで,ALS病態改善効果の解析を進めた.・昨年度までに,文献調査によりALSの原因として確からしいと判断した原因遺伝子および変異型のクローニングを行い,これらの変異型の中から野生型SOD1のDerlin-1との結合,およびSOD1の構造変化(Derlin-1結合領域の露出)を引き起こすものを抽出するための免疫沈降法スクリーニング系を構築した.以上に基づき,本年度は,実際にスクリーニングを遂行した.
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (6件)
Neurobiol. Dis.
巻: 82 号: 2 ページ: 478-486
10.1093/hmg/ddv467
Molecular Cell
巻: 52 号: 1 ページ: 75-86
10.1016/j.molcel.2013.08.038