研究課題
特別研究員奨励費
①膵臓がん同所性移植モデルより樹立した高悪性株の評価3種類のヒト膵臓がん細胞から樹立した細胞株の悪性度についてin vivoでの造腫瘍能を調べた結果、親株と比較して樹立した細胞株の造腫瘍能が顕著に増大していることが確認できた。また、in vitroにおいても低血清下で高悪性株の増殖能の亢進が認められた。さらに、一部の細胞株ではフィブロネクチンへの接着能やcolony形成能の増大も観察された。これらの結果から樹立された細胞株は高い悪性度を示す高悪性株であることが示されたのと同時に、がん細胞が周囲の環境との相互作用することが悪性形質の獲得に重要であることが示唆されたと考える。②次世代シークエンサーによる高悪性株の網羅的遺伝子解析樹立した高悪性株についてRNAシークエンスを用いて網羅的に遺伝子発現変動を観察した。その結果、親株と比較して、高悪性株で発現が顕著に亢進もしくは低下している遺伝子が多く存在することがわかった。それらの遺伝子の中で複数のヒト膵臓がん細胞で共通して発現亢進が確認される遺伝子が、悪性化進展に重要な候補因子と考えて抽出し、現在それらのより詳細な解析を行っている。③異所性移植 (皮下移植) との比較がん細胞の悪性形質の獲得が膵臓組織との相互作用に特異的であるかを調べるため、同所性移植を用いて高悪性株を作製したのと並行して、背部皮下組織へ移植する異所性移植からの細胞株の作製も試みた。興味深いことに同所性移植モデルを用いて樹立した高悪性株と異所性移植モデルを用いて樹立して作製した細胞株では、両者での遺伝子発現に大きな差異が認められた。特に②において抽出された候補遺伝子の発現については同所性移植モデルから樹立した高悪性株に特異的に発現亢進しているものも多く、膵がん細胞が獲得する悪性形質は発生母地である膵臓微小環境との相互作用に大きく依存することが示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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