多能性幹細胞由来の心筋シートは、各種線維芽細胞の共培養が必要不可欠であることを明らかにし、64電極を用いた細胞シートの細胞外活動電位から心臓線維芽細胞を用いた心筋シートでは、シート内の各領域で心筋細胞の収縮およびシート内活動電位の伝播が確認されましたが、成体マウス背部線維芽細胞を用いた心筋シートではシート内のある領域でしかシート内心筋細胞の収縮およびシート内活動電位は確認されませんでした。また、心筋シートを免疫蛍光染色し、心筋細胞、線維芽細胞の局在および心筋細胞数の評価を行ったところ、各種繊維芽細胞を用いたシート内での心筋細胞数に大きな差が得られ、心臓線維芽細胞を用いた心筋シートでは心筋細胞数が背部線維芽細胞を用いた心筋シートや線維芽細胞を含まない心筋シートよりも多いことが分かりました。またDay1とDay5でシート内の各種心筋細胞数や細胞分裂マーカーによる評価を行ったところ、心臓線維芽細胞を用いた心筋シートでは心筋細胞数がDay5で増加していたことから、心臓線維芽細胞にはES細胞由来心筋細胞の増殖効果があることが示唆されました。また心筋細胞増殖効果をもたらすタンパク質を、発現遺伝子・タンパク解析と中和抗体試験、リコンビナントタンパクの添加実験から明らかにしました。本研究成果を現在、英語論文に投稿中で、2013年9月にMolecular Cardiovascular Conference IIにてFeatured poster賞を受賞し、2013年4月に榊原記念研究助成金を受賞しました。
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