研究課題/領域番号 |
14011210
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
片山 栄作 東京大学, 医科学研究所, 教授 (50111505)
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研究分担者 |
馬場 則男 工学院大学, 工学部, 教授 (80164896)
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研究期間 (年度) |
2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
2002年度: 5,700千円 (直接経費: 5,700千円)
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キーワード | 急速凍結 |
研究概要 |
われわれは、急速凍結フリーズ・レプリカ電子顕微鏡の特長を利用して、溶液内あるいは細胞内で機能遂行中の1個1個の蛋白質の一瞬の姿を捉え、その立体構造を精密に解析する一連の手法の開発と応用を進めている。具体的方法として、レプリカ像からの3次元再構成、そして原子構造既知の蛋白質やその複合体に想定されるレプリカ像のコンピュータ・シミュレーションを行ってきた。 本年度は、in vitro滑り運動中のウサギ・アクトミオシン複合体試料中でしばしば観察され、アクチンフィラメントを抱き込む形で結合するミオシン頭部の構造解析を行った。ミオシン頭部はATP結合により強く屈曲することが知られ、そのX線結晶構造が発表されている。またミオシンATPaseのさまざまな反応中間体アナログを形成する金属イオン/ADP複合体でも類似の構造を取ると考えられている。しかし、これらの構造から予測されるシミュレーション画像は上記のアクチン結合ミオシンの画像とは合致しなかった。そこで、不安定な中間状態において2価性試薬(pPDM)で化学架橋を施したミオシン頭部のレプリカ画像を捉え、その3次元構造を解析したところ、滑り運動中のアクチン結合ミオシンの画像と酷似することが判明した。その構造は上記の結晶構造のレバーアーム部分をほぼ逆方向に回転させることにより得られるものであった。一方、pPDMで架橋したホタテ貝ミオシン頭部のX線結晶構造がごく最近発表され、ADP結合ミオシンに近いと結論されているが、その構造はわれわれが見出したものとは全く異なる。ウサギ・ミオシンではpPDMによる架橋はSH-1、SH-2と称される2個のチオール基をつなぐが、ホタテ貝ミオシンではSH-2とリジンが架橋されることが分かっている、これらのことから種の異なるミオシンの架橋産物が別の構造を取っているものと考えれば説明可能であろう。軽鎖中のSH基に入れた蛍光標識のスペクトルの特徴も同様のことを示唆している。
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