研究概要 |
これまでに再生芽にfgfr1が発現し、再生芽の形成、維持にFgfシグナルが働くことがゼブラフィッシュで示されているが、再生芽誘導機構やその後の組織再生を司る分子メカニズムは明らかにされていない。そこで、ヒレ再生制御遺伝子群の網羅的単離を目的にEST解析を行った。形態学的観察結果をもとに再生芽形成が盛んな再生3日目、後期の組織再生が盛んな再生10日目ヒレよりcDNAライブラリーを構築し各ステージ10,000クローンのランダムシークエンスを行った。シークエンスの完了した再生10日目EST7,006クローンの配列情報に基づきクラスタリング解析を行った結果、独立した3,461種類の遺伝子が含まれること、さらに5'上流配列に基づくblast解析を行った結果、その約6割が既知遺伝子であることが明らかになった。再生芽が形成され、幹細胞が分化開始する時期であるメダカヒレ再生3日目のcDNAライブリーを構築し、遺伝研において10,000シークエンスが終了した。その結果8,901個のシークエンスが得られ、そのうち3,454種類の遺伝子が含まれ、1個しかシークエンスがなかったものが2,323個あり全体の67.2%を占めた。3,454のうち1,166クラスター(33.8%)のみが10日目のシークエンスと重なっており、再生芽特異的cDNAがかなり含まれていると思われる。3日と10日のESTクローンから新規の遺伝子を中心に3,000個を選びDNAマイクロアレイを作成した。このDNAチップを用い、ヒレ再生1日目、3日目、10日目通常ヒレのRNAをハイブリダイズし、解析した結果ヒレ再生1日目に特異的なクローン26個を得た。
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