研究概要 |
罹患同胞対法を用いた日本人2型糖尿病の全ゲノム解析を行った。2名以上の同胞に2型糖尿病を認めた164家系368名(256同胞対)を対象とした。このサンプルセットでは2型糖尿病のλs>1.6である場合に有意の連鎖を有する領域を見出す確率が80%以上となることが示されている。常染色体上の414種類のマイクロサテライトマーカーをタイピングした(平均マーカー間距離8.6±5.2cM)。解析に先立って、家系矛盾チェック、タイピングエラーチェック施行後に、SPLINKおよびGENEHUNTER PLUSを用いて連鎖解析を施行した。その結果、単点解析では19箇所、また多点解析では連鎖の可能性が示唆される領域を12箇所特定した(LOD>0.59,P<0.05)。最も連鎖の可能性が高かったのは、染色体9q(140.0cM, LOD=1.40,P=0.006)および21q(48.0cM, LOD=1.92,P=0.001)であった。既に報告された日本人2型糖尿病ゲノム解析の結果と一致する領域は上記以外の2箇所であったが、8箇所において他の民族で報告された領域と一致していた。さらに、糖尿病診断時年齢と現在のBMIによりサブ解析を行ったところ、次の3領域でLOD>2.32(nominal P<0.001)が得られた;15q(45.8cM、BMI<22)、21q(48.0cM、BMI<24)および9q(140cM、BMI>21)。一方、現在BMIの対数を用いたQTL解析では12箇所で連鎖の可能性が示唆され、うち8箇所は他の研究グループで報告されている領域と合致していた。 今回の結果やその他の報告を総合的に考慮すると2型糖尿病の原因遺伝子あるいは原因SNPはかなり多数存在すると予想される。今後は、複数の報告で連鎖の可能性が否定できないとされている領域を中心にcase-control解析を進める。
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