研究概要 |
1.大腸菌の広範囲欠失変異株を用いたtRNA修飾酵素遺伝子の探索:効率良くtRNA修飾酵素遺伝子を探索するために、大腸菌の広範囲欠失変異株(加藤博士[都立大」及びYale大CGSCより分与)からRNAを抽出し、LC/MS法で分析した。昨年、同様の解析により8株において修飾の欠落を観測した。欠落が観測された修飾塩基は、s^2U, ac^4C, Q[2種], cmo^5U, m^7G, mum^5s^2U[2種]である。残りの広範囲ゲノム欠失変異株の解析を行ったところ、新たに3株について、それぞれm^6t^6A, Q, acp^3Uの欠落を観測した。 2.大腸菌のtRNA修飾酵素遺伝子の同定:1で述べた欠失変異株では平均で約20の遺伝子を欠損している。このうちどれが原因遺伝子であるかを、個々の遺伝子の破壊株(三木博士[福岡歯科大]より分与)の分析と、各遺伝子を運ぶプラスミド(西村博士[遺伝研]より分与)を接合によって順番に欠失変異株に供給し、欠た修飾を復活させることで調べたところ、m^7G合成酵素遺伝子とmum^5s^2Uの2チオ化に関する酵素遺伝子を同定した(投稿準備中)。 3.枯草菌の変異株を用いたtRNA修飾酵素遺伝子の探索と同定:(1)枯草菌の機能未知必須遺伝子の条件変異株(IPTGの添加により当該遺伝子発現が制御できる株;小笠原博士[奈良先端大]より分与)を-IPTG条件で培養した細胞からRNAを抽出し、分析した結果、L(リシジン)合成酵素遺伝子とcmum^5s^2Uの2チオ化に関する酵素遺伝子を同定した(Lについては投稿中)。(2)deaminaseモチーフを有する枯草菌の機能未知遺伝子の欠損株(小笠原博士より分与)数種の解析から、yaaJがtRNA^<Arg>のアンチコドンに存在するI(イノシン)の合成酵素遺伝子であることを示した。
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