研究概要 |
T4類縁ファージはT4ファージからの相同性の違いの度合いによって、Teven, Pseudo-Teven, Schizo-Teven, Exo-Tevenに分類される。最近、これらT4類縁ファージの全ゲノム配列が次々と決定されつつある。当研究室では、昨年テイルリゾチーム蛋白質(gp5)の結晶化・立体構造の解明に成功した。この蛋白質はN末端ドメイン、リゾチームドメイン、C末端ドメインの3つのドメインからなり、C末端ドメインは新規の3本鎖βヘリックス構造を形成している。このようなドメイン構造がT4ファージ類縁ファージの間でどのように保存されているかを調べた。その結果、RB69,RB49などPseudo-Tevenファージではβヘリックスの長さが若干異なるだけで構造も保存されていると考えられたが、Schizo-TevenファージであるKVP40ではリゾチームドメインが欠失していることが分かった。さらに、Exo-Tevenファージのspm2ではN末端ドメインだけが相同性が高く、リゾチームドメインもC末端ドメインも相同性が低く、3本鎖βヘリックスの存在も明らかではない。そこで、英国のMann博士より、spm2ファージのDNAを譲り受け、PCR法によって同ファージの遺伝子5をクローニングした。配列の確認も行ったがまだ大量発現には成功していない。他方、最近次々にファージの全ゲノム塩基配列が決定されつつある。そこで、これらのファージを検索し、69種、約7千五百のORFを収集した。これを国立遺伝研西川建教授の構築されたGTOPに登録し、同教授のご協力を得て網羅的な相互塩基配列比較を行うと共に、各ファージのゲノムの物理地図を作製している。
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