研究概要 |
タンパク質の立体構造予測法の1つである構造認識法のプログラムの開発を行った.まず,タンパク質の側鎖ロータマーを考慮した構造-配列適合性関数を使って,立体構造から3Dプロフィールを求める.一方,配列からPSI-BLASTを利用した配列データベースサーチを行って1Dプロフィールを求める.次にそれらの混合プロフィールを作成する.この混合プロフィールのサーチ能の評価を行った.評価は,ファミリー,スーパーファミリー,フォールド別にサンプルセットを用意して行った.その結果,混合比率が1D:3D=3:7程度の場合,スーパーファミリーレベルの認識能で,1Dプロフィール(IMPALA)より若干良い精度を示した.ファミリー,フォールドレベルの認識能にはあまり差が見られなかった.プロフィールの検索でE-valueが10以下の構造については,適合度を構造-配列適合性関数で再評価する仕組みを作成した.関数はロータマーを利用しているので,配列を構造にのせかえてから,側鎖の種類の最適化実行する.その後配列の組成を固定してシャフリングを行い,Z-スコアを導出する.この仕組みを実装したPILOTという構造認識法のサーバを作成し,生命情報科学研究センターのサイトからWWW上での公開を行った.このサーバでタンパク質の自動構造認識コンテスト(CAFASP3)に参加した.総合評価はあまり良いものではなかったが,1Dプロフィールの利用法,構造-配列適合性関数の利用法などについて,今後の課題を得ることができた.
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