研究課題/領域番号 |
14017003
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
福島 菊郎 北海道大学, 大学院・医学研究科, 教授 (70091486)
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研究期間 (年度) |
2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
2002年度: 4,000千円 (直接経費: 4,000千円)
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キーワード | 前頭眼野 / 滑動性眼球運動 / 輻輳開散運動 / 視線運動 / 線形加算 / 仮想空間 / サル |
研究概要 |
網膜中心窩が発達した霊長類では、眼前の3次元空間をゆっくり動く対象物からの視覚情報を適切に取り込むために、滑動性眼球運動と輻輳運動が使われる。滑動性眼球運動は、視覚対象が前額面を動くときに左右の目を同じ方向に動かし、輻輳運動は奥行き方向に動く視覚対象に対して左右の目を反対方向に動かす、これら2種類の眼球運動は、網膜に投影される視覚情報の異なった成分を使い、脳内の異なった領域が個別に処理し、それぞれの運動指令も脳内の異なった領域で処理されて、脳幹の最終出力の段階で両運動指令が統合されることがこれまで報告されてきた。この定説に反し、昨年度、本研究者らは前頭眼野後部領域の滑動性眼球運動ニューロンの大多数は、輻輳運動にも応答することを明らかにし、両眼球運動の統合がすでに前頭葉で起こることを示した。この統合原理を調べるため、今年度、個々のニューロンについて両眼球運動が要求される視標追跡課題中の応答を、個々の眼球運動課題の応答と比較した。視標刺激はサルの左右眼前の液晶シャッターとコンピューターグラフィクスを用いて仮想視標により行った。滑動性眼球運動と輻輳運動の両者に応答した前頭眼野後部領域ニューロンについて前者の最適方向が水平の場合は正中面での左右眼の対称性輻輳運動と、左右いずれかの眼の前方で非対称性の輻輳運動中の応答を比較した。最適方向が水平以外の場合は、その方向と輻輳運動から推定される奥行き方向の非対称性の輻輳運動中の応答を、個々の眼球運動応答と比較した。その結果、滑動性眼球運動の最適方向が水平の場合も水平以外の場合も、滑動性眼球運動と輻輳運動の両者が要求される課題中の応答は、個々の眼球運動課題の応答の、ほぼ線形加算によって説明できた。従って、前頭眼野後部領域ニューロンは、滑動性眼球運動と輻輳運動信号の線形加算によって、3次元空間に最適ベクトルを持つ眼球運動信号をコードすると解釈できる。
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