研究課題/領域番号 |
14017008
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
村本 環 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (40302096)
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研究分担者 |
北本 哲之 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20192560)
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研究期間 (年度) |
2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
2002年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
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キーワード | プリオン / コンフォメーション / 変異 / GPIアンカー / アミロイド / 神経変性 / トランスジェニックマウス |
研究概要 |
我々は、プリオン蛋白(PrP)によるブリオン形成能、アミロイド形成能、ならびにそれらを介した病原性発現におけるGPIアンカーの役割を明らかにするために、GPIアンカーを欠く分泌型変異PrP(SecPrP)を発現するトランスジェニック(Tg)マウスを作製し、プリオンの接種実験を行った。 SecPrPを発現するTgマウス(TgSecPrP)にプリオンを接種すると、脳内へのPrPScの蓄積やプリオン増殖に加えて、高度のPrPアミロイド沈着が認められた。このような所見は、野性型マウスや野性型PrPを高発現するTgマウスのプリオン病では観察されず、SecPrP発現マウスに特有の現象と考えられた。また、神経変性の増強、潜伏期間の短縮が同時に認められたことから、SecPrPも神経変性に寄与したことが示唆された。発病したTgSecPrPマウスの脳乳剤をnon-Tgコントロールマウスに接種すると、通常の野生型マウス由来のプリオンを接種した場合と類似の潜伏期間の後に発症し、SecPrPの発現はプリオン増殖の妨げにならなかったことが示唆された。 続いて我々は、野性型PrPを持たずSecPrPのみを発現するTgマウス(TgSecPrP-KO)を作製した。このマウスにプリオンを接種して観察したところ、明瞭な神経障害症候を呈さずに500日以上生存が可能であった。しかし、脳にはSecPrPから成る極めて高度のアミロイド沈着が認められ、脳組織中には蛋白分解酵素耐性の異常型SecPrPが検出された。これらのことは、PrPの異常化およびPrPによるアミロイド形成にはGPIアンカーは必須ではないことを示している。一方、神経変性に関しては、海綿状変性や神経原線維変化の所見は認められず、異常型プリオン蛋白およびプリオン蛋白アミロイドによる神経変性にはGPIアンカーが重要な働きをしていることが示唆された。
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