研究課題/領域番号 |
14017009
|
研究種目 |
特定領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田村 宏治 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 助教授 (70261550)
|
研究期間 (年度) |
2002
|
研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
|
配分額 *注記 |
6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
2002年度: 6,400千円 (直接経費: 6,400千円)
|
キーワード | 神経回路 / 魚類 / 視交差 / 非対称 / 左右 |
研究概要 |
魚類の左右の眼球から伸びる視神経によって作られる視交差の背腹関係を指標に、神経回路に左右非対称が形成されるメカニズムを調べた。まず、いくつかの硬骨魚類における視交差の左右非対称性を調べた。ヒラメ成体では100%(15/15個体)の個体で右眼球由来の神経束が背側を、カレイ成体(ホシガレイ、マツカワガレイ、マコガレイ)では100%(20/20個体)の個体で左眼球由来の神経束が背側を通って交差していることを確認した。一方、メダカおよびゼブラフィッシュでは、約半数の個体で右眼球由来の神経束が背側を、残り半数では左眼球由来の神経束が背側を通って交差しており、左右性に関しては規則性がないことがわかった。それぞれの種の胚体眼胞へのDiI/DiOのinjectionにより、胚発生初期に形成される視交差においてすでに左右差が生じていることを確認した。このことは上記の魚類成体の視交差左右非対称性は胚発生時の初期神経回路形成において作られることを示唆する。 通常カレイ種は右を向いているが日本産ヌマガレイは90%以上が左を向いている。左を向いているヌマガレイにおいても左眼球由来の神経束が背側を通って交差していた。また養殖カレイの中に見られる変態・着生後も(奇形により)右も左も向かない個体においても、左眼球由来の神経束が背側を通って交差しており、通常のカレイと変わりがないことがわかった。これらのことは、視交差の左右性はヒラメでは右が背側、カレイでは左が背側、ゼブラフィッシュおよびメダカではランダムという状態が、他の左右性とは独立に作られている可能性を示している。さらに詳細な解析を行うために、本年度は魚類胚の微細操作を行う実験系の確立を行った。とくに、他の脊椎動物胚および他のシステム(肢芽形態形成)と比較検討しながら実験系の確立を行った。
|