研究課題/領域番号 |
14017020
|
研究種目 |
特定領域研究
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
郭 伸 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (40160981)
|
研究期間 (年度) |
2002
|
研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
|
配分額 *注記 |
6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
2002年度: 6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
|
キーワード | グルタミン酸受容体 / 筋萎縮性側索硬化症 / 脊髄運動ニューロン / RNA編集 / GluR2 / AMPA受容体 / 神経伝達物質 / ADAR |
研究概要 |
ALSの脊髄前角および脊髄運動ニューロンではグルタミン酸受容サブタイプであるAMPA受容体のサブユニットGluR2 mRNAはQ/R部位が未編集のものが増加している。この分子変化はAMPA受容体のCa2+透過性を亢進させ、動物脳で遅発性の脊髄運動ニューロン死を含む神経細胞死を引き起こすことが知られており、かつALS以外の神経疾患にはみられない疾患特異的な変化であることから、本疾患の神経細胞死に直接関わっている可能性が高い。RNA編集に関わる編集酵素adenosine deaminases acting on pre-mRNAs(ADAR)には3種(ADAR1〜ADAR3)が知られており、GluR2 mRNA編集率低下との関連を明らかにするために、ADARs mRNA発現量とGluR Q/R部位の編集率の相関を検討することを目的とした。凍結保存正常対照ヒト剖検脳組織より、GluR2、GluR5、GluR6、ADAR1〜ADAR3のmRNA量をLightCycler(Rocche Diagnostics)によるRT-PCR定量した。RNA編集を受けるQ/R部位を持つGluR2、GluR5、GluR6 mRNAのRT-PCR産物をQ/R部位を認識する制限酵素Bbv-1で処理し、その消化断片を2100 Bioanalyzer(Agilent)により定量解析し、RNA編集を受けた割合(編集率)を算出した。GluRの発現レベルはいずれの組織でもGluR2>GluR6>GluR5の順であり、ADAR1は全般に、ADAR2は灰白質優位、ADAR3は白質優位に発現していた。Q/R部位の編集率は、いずれのサブユニットmRNAも灰白質>白質であり、ADAR2の発現レベルに平行していた。とくにGluR2Q/R部位の編集率は灰白質では100%に保たれていたが、白質では最大40%低下していた。GluR2 mRNA編集率は、ADAR2/GIUR2比に依存し、編集率が100%の部位ではこの比が0.02以上であったが、編集率が低下している部位(全て白質)では0.02以下であった。編集率とADAR1/GluR2比にはこのような相関が見られなかった。ヒト脳ではADAR2 mRNAの発現レベルがGluR2Q/R部位のmRNA編集を規定している可能性が示された。ADAR2mRNA発現量の変化とALS脊髄運動ニューロンの神経細胞死との関わりについては今後の検討課題である。
|