研究課題/領域番号 |
14017059
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤田 一郎 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 教授 (60181351)
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研究期間 (年度) |
2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
2002年度: 3,800千円 (直接経費: 3,800千円)
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キーワード | 両眼視差 / 立体視 / 下側頭葉皮質 / 霊長類 / 視覚情報処理 / 情報理論 / 視覚連合野 / 視覚認識 |
研究概要 |
網膜像のずれ(両眼視差)から、われわれは「輪郭や面の奥行き」と「物体の面構造」を知ることができる。われわれは最近、形・色・模様を処理している側頭葉経路の下側頭葉皮質(IT野)やその前段であるV4野の多くの細胞が両眼視差に感受性を持つことを見出した。本研究では、側頭葉経路の両眼視差感受性細胞が果たす機能をあきらかにする目的で細かい奥行きを弁別する課題遂行中のサルのIT野単一細胞の示す反応を解析し、奥行き弁別閾値近辺における神経細胞の反応の変動とサルが示す奥行き判断の変動の間の相関を送信者特性解析法(SOC解析)を用いて解析した。この相関値はchoice probablity(CP)と呼ばれ、CP=1は細胞活動から100%の確率で動物の弁別行動(本研究の場合、眼球を右または左に動かすことで、視覚対象が奥に見えたか手前に見えたかをサルが答える)を予測できることを示し、CP=0.5はそのような予測がまったくたたないことを意味する。IT野細胞の中にはCP=0.8を越す細胞があり、0.5から有意に異なるCPを示す細胞は半数以上を占めた。検査した細胞集団全体(61個)の平均値は0.56であった。この値は小さいものではなく、たとえば、MT野の細胞が視覚対象運動弁別課題において示す値に匹敵している。以上の結果は、IT野細胞が、視覚対象物の奥行き方向の精細な位置づけに関わっていることを示唆している。MishkinとUngerleider(1982)が頭頂葉経路が視覚対象の位置を、側頭葉経路が視覚対象の同定を担うと唱えた大脳皮質の機能構成に関する2分法は、最も厳密な意味においては、成立していないことを本研究の結果は示している。
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