研究課題/領域番号 |
14017060
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大河内 正康 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90335357)
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研究期間 (年度) |
2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
2002年度: 4,300千円 (直接経費: 4,300千円)
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キーワード | アルツハイマー病 / プレセニリン / γセクレターゼ / Notchシグナル伝達 / アミロイドβ蛋白 / Notch-1 Aβ-like peptide / CD44 / CD44 Aβ-like peptide |
研究概要 |
Notch-1蛋白はタイプ1膜蛋白型・細胞表面レセプターであり、胎生期や成長後の細胞分化特に神経細胞の分化調節に必須のNotchシグナル伝達を担っている。古典的なシグナル伝達パラダイムとは異なり、Notchシグナル伝達はリガンド結合に起因したNotchレセプター分子の段階的な蛋白分解の結果、その細胞内部分が核移行し直接転写調節因子として働くことでシグナル伝達が達成される。 即ち、リガンド結合によりNotchレセプターのSite-2での"細胞外シェディング"が誘導され、その結果生じる膜貫通フラグメントであるNEXT(Notch extracellular truncation)はSite-3で膜内蛋白分解を受ける。この切断はアルツハイマー病βAPPのγ-切断と似通っている。これらの蛋白分解は家族性アルツハイマー病の病原性蛋白であるプレセニリンの機能に依存することがわかっている。しかしながら、アミロイドβ蛋白(Amyloid β-peptide ; Aβ)とNICD(Notch intracellular cytoplasmic domain)を生じる切断部位の膜内トポロジーに違いがあるため、これらの切断は二つの異なる蛋白分解酵素によるものではないかと考えられていた。 我々はNotch-1蛋白由来の新規ペプチド(Notch β-peptide ; Nβ)が細胞外に分泌されることを明らかにした。そして、Nβの放出を直接規定するNotch-1の新たな膜内蛋白分解部位として膜貫通部分のほぼ中央にSite-4分解部位を同定した。このSite-4はAβを生成する切断と似ている。すなわち、Notch-1の膜貫通部分を膜から分離させるためには従来報告されていたSite-3における蛋白分解だけではなく、少なくとも2つ以上の蛋白分解の結果生じることを明らかにし"dual intramembrabous cleavage"という概念を導入した。 プレセニリンの病原性突然変異体はAβのカルボキシル末端を延長する。面白いことに、これらの変異型プレセニリンはSite-4切断の正確さに同様の影響を及ぼす。したがって、プレセニリン変異体は2つの全く異なる基質(Notch/βAPP)の同じような部位(S4/γ40)での切断の正確さに同じような影響(切断をよりカルボキシル末端側へずらす)を示すことが明らかになった。 さらに、他のプレセニリン依存性蛋白分解の基質であるCD44でも膜内蛋白分解の結果Aβ/Nβのようなペプチドが"dual intramembrabous cleavage"の結果分泌されることを明らかにした。これらの類似点を考慮するとNotch/βAPP/CD44は共通のプレセニリン(g-セクレターゼ)を蛋白分解酵素とするメカニズムですくなくとも2回膜内で切断されていると考えられる。
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