研究概要 |
(1)本邦で新しく発見されたL266Vタウ遺伝子変位について、変異を有する患者剖検脳のタウmRNAのRT-PCR解析、可溶性タウのウエスタンブロット解析、変位タウの微小管重合促進能の解析を行った結果、L266V変位はスプライシングには影響せず、微小管重合促進能の低下をおこす変位であることを明らかにした。 (2)各種タウオパチー脳のタウmRNAの発現、蛋白質の発現、蓄積タウの分子種を解析し、遺伝性疾患にみられるようなタウの発現異常がおこっているかについて検討した。4Rタウの蓄積が見られる皮質基底核変性症、進行性核上性麻痺において3Rタウの減少に伴う相対的な4RタウmRMA比率の増加が検出されたが、可溶性タウの変化は見られなかった。一方、3Rタウが蓄積するピック病においても3RタウmRNAの減少が見られた。3Rタウの減少は神経細胞のマーカーであるNF-Mの減少と関連がみられた。 (3)変異タウ(P301L, P301S, V337M, G389R)、リン酸化タウを用いて検討を行った結果、変異、リン酸化のいずれもタウの線維形成を促進すること、シード添加によりAD脳に蓄積するタウと同様の性質を示すことが明らかとなった。 (4)タウの蓄積とよく似たαシヌクレインの蓄積について解析した結果、蓄積しているαシヌクレインは129番目のセリンが異常にリン酸化されていること、また一部がユビキチン化されていることを明らかにした。
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