研究課題/領域番号 |
14017111
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所 |
研究代表者 |
加藤 兼房 愛知県心身障害者コロニー・発達障害研, 究所・生化学部, 部長 (50022801)
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研究分担者 |
伊東 秀記 愛知県心身障害者コロニー・発達障害研, 究所・生化学部, 研究員 (40311443)
稲熊 裕 愛知県心身障害者コロニー・発達障害研, 究所・生化学部, 主任研究員 (10250250)
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研究期間 (年度) |
2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
2002年度: 6,900千円 (直接経費: 6,900千円)
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キーワード | 細胞内封入体 / プロテアソーム / ユビキチン / Hsp27 / シクロヘキシミド / リン酸化 / 細胞死 / HSF |
研究概要 |
(1)Hsp27を多量に発現し、αBクリスタリンの発現が少量であるヒトグリオーマU251MG細胞株をプロテアソーム阻害剤MG-1325μMを曝露すると、数時間内に、Hsp27の三カ所のセリン残基のリン酸化が促進し、とくに、不溶性画分に蓄積した。このときHsp27の蓄積と同時に、ユビキチン化された蛋白質も不溶性画分に蓄積することが分かった。この様な不溶性蛋白質複合体(IPC)は形態学的にアグリソーム様の細胞内封入体を形成し、曝露24時間で約1/4の細胞死が誘発されていることがフローサイトメータを使った分析で明らかになった。さらにMG-132と同時に微小管脱重合促進剤であるノコダゾールを共存させると、IPCの形成は影響されず、封入体形成が阻止され、細胞死がさらに増加した。このことから、IPCの増加に伴う封入体の形成は、細胞の防御機構の一つであることが推測された。 ところが、MG-132曝露で誘発されるIPCの形成促進、封入体形成および細胞死は、同時に蛋白質合成阻害剤であるシクロヘキシミドあるいはアニソマイシン(20μg/ml)を共存させると,上記の現象がほぼ完全に阻止できることがわかった。熱ショック、化学ストレスで誘発される応答は、上記の薬剤では阻止されなかった。 プロテアソーム阻害剤は熱ショック転写因子(HSF)を活性化し、ストレス応答を引き起こし、シクロヘキシミドはHSFの活性化を阻止することが知られている。HSFの活性化がMG-132によるIPC形成と関連があるのではないかと考え、ストレスに対する閾値を下げて、ストレス応答を促進することが知られているlipoxygen aseの阻害剤、nordihydroguaiaretic acid (NDGA)、を低濃度の(0.5μM)MG-132と同時に作用させると、MG-132単独曝露時に比べ、HSFのHSE結合活性を促進し、ユビキチン化蛋白質を含むIPCの蓄積が増加した。NDGA単独では応答はまったく見られなかった。Prostaglandinn J2やdiethyl maleateを共存させても、低濃度のMG-132による応答は、HSFの活性化の促進を伴って、増強された。 以上の結果より、プロテアソーム阻害剤で誘発される、IPCの蓄積および細胞内封入体の形成はHSFの活性化と密接に関連していることが示唆された。しかし、プロテアソーム阻害剤で促進されるHsp27のリン酸化の生理的・病理的意義は不明である。
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