研究概要 |
昨年度に引き続き,広域環境で,ノード数の増減を伴いながら並列計算を継続的に実行するプログラミングモデルPhoenixの設計と実装を行っている.本年度の主な成果は以下の通りである. *Phoenixシステム第0.9版の実装:提案モデルPhoenixの初期版を実装した. *ノード脱退を含めた移送プロトコル:Phoenix上で,アプリケーションの状態とVirtual Processorの移送(migration)を行うプロトコルを設計,実装した.これにより,並列計算をとめないまま,台数を減少させるプログラムの実行が可能になった.また,モデル検査ツールを用いて検証を行った. *Phoenixモデルでの並列アルゴリズム記述:Phoenixモデルはメッセージパッシングに準ずるが,並列アルゴリズムの記述にあたっては,通常のメッセージパッシングと異なる考え方をしなくてはならない部分もある.いくつかの並列アプリケーションをPhoenixモデルで実際に記述,実行することで,Phoenixモデルの並列ブログラミングモデルとしての有用性,一般性を検証した. *Virtual Private Gridの第1版公開:広域に分散した多数のノードを有効利用できるシェルで,技術的にもPhoenixと共通部分の多かったVirtual Private Gridについて,ソフトウェアの公開を始めた.今後も改良し,継続して改版をしていく予定である. *Virtual Private Gridに関する国際会議での発表:Virtual Private Gridに関する論文は,100編以上の投稿中23本が採択された,「Gridおよびクラスタ計算に関する国際会議(CCGrid)」に採択,発表された.さらにその中から論文誌への投稿を推薦された7本の論文のうちのひとつに選ばれた.現在論文誌は査読中である. *Phoenixモデルに関する国際会議への論文の採択:Phoenixのモデルとその意義などについて記述した論文が,並列プログラミングにおける世界で最高峰の会議ACM SIGPLAN Symposium on Principles and Practice of Parallel Programming(PPoPP)に採択された.
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