研究課題/領域番号 |
14019023
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
國吉 康夫 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 助教授 (10333444)
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研究期間 (年度) |
2002
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研究課題ステータス |
完了 (2002年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
2002年度: 6,500千円 (直接経費: 6,500千円)
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キーワード | 体性感覚 / ヒューマノイド / トポグラフィック・マップ / 主成分分析 / Gaborフィルタ / 形状認識 / 行動文脈 / 自己組織化 |
研究概要 |
身体性由来の感覚運動情報構造の探索・獲得・利用に向けて、本年度は、人間型身体のシミュレーションに基づく体性感覚運動情報の構造抽出、視覚的物体識別情報の固有基底抽出、行動文脈情報カテゴリの自己組織化学習、全身行動実験用ヒューマノイドロボット制御システム構築の成果をあげた。 これらにより、自律的に身体性情報を発見・獲得し新奇な行動概念を獲得するロボットに向けた要素技術の主要部分が構築された。 (1)体性感覚運動情報の構造抽出:人体シミュレーションモデルの表面に220個の触覚センサを設定し、ランダム全身運動を行わせ、体性感覚情報として220次元×10万ステップの時系列データを得た。相関構造解析により、人体のトポロジに対応したTopographic mapが生成された。 (2)脳型物体識別処理モデル:脳の側頭葉TE野の物体認識機能のモデル化を試みた。TE野では物体形状の基本要素ごとに分解した情報表現がある。これを基底関数の考え方でモデル化した。視覚画像を、V1に相当するGaborフィルタ群を通し、画素特徴ベクトルを生成する。次に、特殊な受容野配置によりこれを集約し、180次元の画像特徴ベクトルを生成する。これに主成分分析を適用し第5主成分までを用いて基底を定めた。手認識に応用し、学習時に未経験の背景、明暗・移動・変形等の変動にもロバストに形状認識が行えることを確認した。 (3)行動文脈カテゴリ自己組織化:非単調ニューラルネットと自己組織化学習と統合することにより、文脈情報カテゴリの自己組織化学習を行うモデルを構築した。モデルは、森田らによる非単調ニューロンを用いた強力な時系列学習ニューラルネットに、Kohonen型の自己組織化機構を融合したものである。これにより、時系列パターンのカテゴリ化学習と時系列予測機能が実現された。 (4)ヒューマノイドロボット行動制御システム:従来の通常のロボットシステムとは全く異なる独自の体内分散制御系により、通常より1桁以上高速な10kHz以上の全軸ソフトウェア電流サーボシステムを構築した。全関節の出力トルクを統合同期制御することができ、環境になじみつつダイナミックな動作を生成することができる。視覚系との統合にも着手し、実時間で人間の両腕動作を認識し、これに対応する動作を生成することで見真似機能を実現した。生成する動作は従来型の位置制御ではなく、出力トルク制御により重力とのバランスを保つ方式とした。これにより、非常に人間の動作に近い滑らかな運動を実現した。
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