研究概要 |
本研究の目的は,ソフトウェアの要求分析の方法論に,成果物の品質を測定するための機構をつけて拡張する技術とそのための支援ツールの開発を行うことである.具体的な研究成果を以下に示す. ・属性つきゴール指向分析法の支援ツール ゴール指向要求分析法のAND-ORグラフに属性値を付加し,要求の品質推定を行えるように拡張した手法AGORAの支援ツールを開発し,その評価を行った.支援ツールは,ゴールグラフの形状を表示,編集するウィンドウと,属性値を入力するウィンドウとから構成されるエディタで,Javaで実現されている. ・要求のコンフリクトの抽出と分析手法 AGORAのゴールグラフ上で,属性値の中の貢献度をもとに,矛盾しない要求の集合を検出する手法と,得られた要求集合の特性値を計算する手法を開発した.ゴールグラフ上でのゴールの接続を論理関係とみなし,prologプログラムへと翻訳し,それを実行することによって要求集合,その特性値を求めた. ・属性つき方法論への拡張法 成果物に品質計測のための属性値を付加することと,要求分析中にその属性値を付加する作業を追加することにより,既存の要求分析方法論を品質計測可能な方法論へと拡張する手法を開発した.まず,方法論を,1)どのような成果物が作られるか,2)どのような作業を行うのかの2つの側面からモデル化し(メタモデルという),記述した.記述にはMethod Engineering Language(MEL)を使用した.また,グラフ変換を用いてメタモデル変換を行って,方法論を拡張する手法の考察も行った.
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